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» 2006年11月30日 09時00分 公開

NGNは企業のIT化に何をもたらすのか(後編):次世代ネットワークが革新するもの――何がどう変わるのか?

NGN(次世代ネットワーク)を導入することにより、企業によるITの利用形態は根本的に変わる可能性がある。では具体的に何がどう変わるのか?NGNが巻き起こす変革の姿に迫る。

[松岡 功,アイティセレクト]

 NGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)による仕組みの変化は、端末側から見ても一大変革をもたらす。ネットワークインフラがIPベースで共通化されるとともに、決済や課金、著作権管理、認証などのセキュリティ機能といったサービスも共通化されたプラットフォームとして整備されることから、端末に依存しないネットワーク利用環境が実現するのもNGNの大きな特徴である。

端末から見た従来ネットワークとNGN(NECの資料より)

 さらに、現在のインターネットでのIPサービスは「ベストエフォート」と呼ばれる速度や品質を保証しないものが大半だが、NGNでは通信の遅延や揺らぎなどを一定のレベルに抑える品質制御を行えるようになる。加えてNTTによると、音声においてもIP電話でありながらステレオのような音質を、テレビ電話でもハイビジョンクラスの品質を保証するサービスを用意する構えだ。その意味では、NGNはインターネットと異なり、通信事業者がサービス品質を保証できるようになるわけである。

 ただ、こうした傾向に対してはISPなどの業界関係者から、「通信事業者の狙いは、インターネットの急成長で奪われたサービスやトラフィックのコントロール機能を奪い返すこと。インフラとサービスを分け、水平分離型でオープンなネットワークのように見せかけているが、実は垂直統合型のクローズなネットワークをつくろうとしている」(浅羽登志也インターネットイニシアティブ副社長)との声も上がっており、さしずめ12月から始まる実証実験でのNTTの対応が注目されるところだ。

大きく変わる企業のIT利用形態

 ではこのNGN、企業のIT化やビジネス展開に対しては、いったい何をもたらすのか。この点についてNECは記者説明会で、NGNが加速する企業向けソリューションとして流通、製造、CRM、業務プロセスの四つの領域を引き合いに、それぞれのメリットをこう挙げた。「流通ではリアルタイムな経営判断やダイナミックな異業種コラボレーションの実現、製造ではリアルタイムでインタラクティブな異業種間での連携、CRMでは“個客”情報流通のセキュリティ確保による安心・安全なマーケティングの実現、業務プロセスではNGNがもたらすQoS(品質保証サービス)やサービスプラットフォーム上でのSOA(サービス指向アーキテクチャー)による柔軟性の高いシステム構築ができるようになる」(安井潤司・執行役員)

 この安井氏の説明からも浮かび上がってくる今後のNGNの核心となる部分は、サービスプラットフォームをいかに活用していくかであろう。そこから推察されるのは、いわゆる情報システムのユーティリティー化がNGNで進展し、ネットワークインフラからコンピュータのハード、ソフト、さらにはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)といったサービスまでもが、ユーザーから見てシームレスなサービスとして利用されるようになることだ。

 企業にとってはまさしくITの導入利用形態がガラリと変わる可能性がある。またビジネス展開への活用からいえば、NGNが変化をもたらすのは、企業間取引に消費者まで巻き込んだ、いわゆるBtoBtoCのビジネスシーンだと想定できよう。

 来るべきユビキタス社会を支えるといわれるNGN。そこには、企業のIT利用形態における抜本的な変化が待ち受けている。

(「月刊アイティセレクト」12月号のトレンドフォーカス「NGNは企業のIT化に何をもたらすのか」より)

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