Red Hatは「かわいいペンギン」から「最大の敵」に――JBossフルーリ氏(3/3 ページ)

» 2006年12月05日 10時45分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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―― ガバナンスモデルをオープンにするということですが、それは優しくて親切な新生JBossが登場したということですか。

フルーリ 優しくて親切なJBossだと言うつもりはありません。われわれは以前と変わらずアグレッシブで、強い競争心を持っています。われわれは周囲からもアグレッシブで孤立主義的だと見られていますが、それは仕事に対するわれわれの強い情熱の表れなのです。

 われわれは以前、そういった見方をされるのがいやでした。競争相手の中には、JBoss開発者は党派的に振る舞っているという事実を強調する者もいました。ですが実際、われわれのコミュニティーの構成を見れば、オープンソース分野で直接競合するライバルと比べて、JBossは桁違いに多くのコミッターを抱えているのです。

 しかしそういった認識は根強く残っています。Bullでさえも、そのようなことを言ったことがあります。われわれは以前から、ガバナンスをオープンにすることを検討していたのです。このためBullが素晴らしい研究事例を提供してくれたとき、われわれは一気にその方向に進むことを決めたのです。しかし誤解しないでいただきたいのは、誰でも自由に参加できるようにするというわけではありません。われわれは、コミット対象の技術の品質をとても重視しています。われわれはすべてのプロジェクトに全力を注ぎ込んでいます。われわれは品質に関して非常に真剣であり、協力者にも同じレベルの真剣さを求めます。

 今後は、ガバナンスがオープン化されるという形のハイブリッドモデルになるでしょう。コードの寄贈に関しては、これまでもずっとオープンでした。しかしそのことを明示しないことで「閉鎖的」という非難を受けることのないよう、それを明確に示すことにしたのです。JBossは常にオープンなコミュニティーでしたが、われわれの主要コミッターのほとんどを雇い入れました。

―― CSA(Service Component Architecture)などに関しては、妥協してスタンスを変えるつもりがあるようですね。JBossは当初、CSAに反対していましたが、気が変わったのですか。

フルーリ CSAに対する現在のスタンスということで言えば、われわれはそれに賛成する理由も反対する理由もありません。それが市場で受け入れられれば、支持します。マーク・リトル氏(JBossのコア開発者)がいみじくも指摘しているように、ESBインプリメンテーションは通常、標準よりも長生きするのだと思います。

 われわれの方針の多くは、マーク・リトル氏の影響を強く受けています。マークは標準の分野に身を置いてきた人間であり、数多くの標準が生まれては消えるのを目にしてきました。重要なのは標準ではなく、各種の標準をサポートするわれわれのインプリメンテーションです。われわれは標準をめぐる戦いをしているのではありません。われわれはインプリメンテーションを行い、市場に判断を任せ、市場に従うのです。

 つまり、目に見える競争に関してはあまり教条主義的な姿勢で臨まず、われわれが得意とする分野であるインプリメンテーションに注力するということです。

 もう1つ付け加えるならば、4年前のJBossはマーク・フルーリ的な色彩の濃い組織であり、Sunなどに対して非常に競争的なスタンスで臨んでいました。今は、わたしは何もしません。実際、開発スタッフの邪魔にならないよう意識的に努めています。

 これは成熟化のサインであると同時に、組織の多様化のサインでもあります。最近では、わたしは技術的な方向性をリードする以外の立場も代表しています。これは非常に良いことです。

―― デビッド・ハイネマイアー・ハンソン氏(Ruby on Railsの開発者)にJBossで働かないかと声を掛けたそうですね。ほかにはどんなタイプの開発者を雇いたいと考えているのですか。

フルーリ 確かに、われわれは同氏にアプローチしました。Webフレームワークの分野では優秀な人材がたくさんいます。1つの問題は、この分野は個人レベルで非常に細分化されたコミュニティーだということです。あるフレームワークを開発しているのが1人だけだったりするのです。Ruby on Railsではそんなことはありません。しかし、より大きな配布組織、より大きなR&D組織の傘下に統合されることでメリットを得られるイノベーションは多数存在します。そしてJBoss/Red Hatはそれを提供する立場にあると思います。このため、われわれはいつも、新しいスタッフを雇うことについて話しています。

 わたしがコア開発者と話をするときは、「採用活動の方はどんな調子だい?」と聞くようにしています。現在はスクリプティング専門家に声を掛けています。Ruby on Railsで示されたように、スクリプティングは次のフロンティアだと考えています。スクリプティング専門家であれ、RESTやWebフレームワーク、Facesの開発者であれ、Seamとの統合を進めている連中であれ、今日、素晴らしい仕事をしている人々の多様なグループを1つの巨大なブランドの傘下に糾合するチャンスがわれわれにはあります。今後のすべての取り組みにおいて、より多くのスタッフが必要になりますので、われわれは適材適所を目指して常に人材を探しています。

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