解き放たれるPCホビイスト――面白いから作る今どきの開発Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ(1/4 ページ)

あなたは“PCホビイスト”? いま、インターネットを発表の場として興味を形にする人が増えている。さまざまなサービスを利用して、手軽にマッシュアップすることは、良いところ取りの境地。かつてないほどに可能性が広がっているのだ。

» 2006年12月14日 08時00分 公開
[川俣晶,ITmedia]

 オンライン・ムックPlus「Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ」で始まる、新たなパート“解き放たれるPCホビイスト編”では、Liveガジェット制作の面白さを紹介していく。

 11月は、Liveガジェットの技術的なテクニックを紹介してきた(関連リンク)。今月以降は、ExcelやWordのマクロを触った程度の人、そしてWebページ作成ソフトでちょっとしたページを作ることにチェレンジしたことのある人、昔、BasicやC言語で楽しさを感じた経験のある人などを中心として、マッシュアップの楽しさを伝えていきたい。

PC上で物を作り上げる楽しさ

 筆者は日ごろガジェットを作ることに楽しさを感じている。それは、結論を先に書いてしまえば、「面白い」からである。

 なぜ? 面白いと感じているのだろうか。

 この問いに答えるためには、PCを使う面白さとは何かについて、振り返ってみる必要がある。

 PCという機器が誕生した当初、初めて触るその世界に興味を抱いものであったに違いない。なぜ間違いないと言い切れるのかといえば、初期のPC(マイコンとも呼ばれた)には事実上「実用性」が無いに等しかったからだろう。

 当時はワープロも表計算ソフトなどもなく、それどころかアルファベット、数字、カタカナ程度の文字しか扱えなかった。通信回線も電電公社が独占していた時代であり、個人がデータ通信を行うなど夢想でしかなかった。

 つまり、報告書の1枚も作ることができず、計算も困難がともない、業務連絡1つを連絡することができないことが初期のPCを取り巻く実態だった。それにもかかわらず、PCに群がる人々が居て、PC専門誌が何誌も創刊された。各ハードウェアメーカーは次々と新型PCを発売したのである。初期のPCブームである。

 使うことで有意義なことはほとんどないに等しかった。それにもかわらず、ブームとなった理由は一つしかあり得なかったといえるだろう。それは、PCを使うことそのものが面白かったのだ。

 ここで確認しておこう。

 現代のPCには、実用性を追求する道具の価値のほかに、PCそのものが面白いという価値も存在する。このような価値を担う者達を、かつては「ホビイスト」と呼んでいた。ほかのジャンルのホビイスト(例えばロボット開発の分野でも使われる)と区別するために、ここでは「PCホビイスト」と呼ぶことにしよう。

 “PCホビイスト”は、一般的にプロと分類されない。

 しかし、PCを道具として使うだけのユーザーとは異なる。道具として使う一般ユーザーは、自分がやりたいことを行うための知識が得られればそれで満足するだろう。しかし、PCホビイストにはそのような歯止めがない。面白いと思うことは、何でも調べ、体験する。それゆえに、PCホビイストが持つ知識は、しばしばプロをも凌駕するわけだ。ここが大きなポイントである。

 しかし、たとえプロ以上の知識を持ったPCホビイストがいたとしても、彼はプロではない。なぜならば、プロとは誰かの役に立つことに技術力を使って報酬を得る人々であるのに対し、PCホビイストにとって役に立つかどうかはあまり意味を持たないからである。他人の役に立つのではなく、自分が面白いと考えることを遂行するのである。

 PCが社会を支える必須のツールになった今、PCホビイストの存在感はとても希薄になっている。大多数のPCユーザーは、単に便利な道具としてPCを使っているに過ぎず、PCによるビジネスは彼らに対するソフトやサービスを提供する行為に限りなく近づいている。この構造の中にPCホビイストの立場はない。

 さて、ここで1つの質問をあなたに投げかけてみたい。

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