解き放たれるPCホビイスト――面白いから作る今どきの開発Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ(2/4 ページ)

» 2006年12月14日 08時00分 公開
[川俣晶,ITmedia]

 昔はPCを使っているだけでワクワクしたのに、最近はまったく面白くない……、と思っていないだろうか? そう思っていなくても、PCでもっと面白いことが無いだろうかなどと考えていないだろうか。

 おそらく、イエスと答える人も、ノーと答える人もいるはずだ。もし、どちらかの答がイエスなら、あなたはPCホビイストかもしれない。

 現在は違っても、その資質の発見に驚くことはない。PCホビイストは一般ユーザーよりも少数派というだけであり、その実数はかなり多いのだ。例えば、プログラマでもないのにC言語を学んだことがある……、PC購入後は自分好みの環境カスタマイズに一晩はハマってしまうなどと、心当たりがある人は多いはずだ。

 しかし、PCホビイストにとって、現在のPC界は住みづらいのが実情であると思う。

 それでは、解き放つためのキッカケをもう少し話してみよう。

 例えば、1990年代初頭程度までは、無名のPCホビイストが作った便利なソフトが、商用ソフトを押しのけて受け入れられることが珍しくなかった。

 しかし、現在はPCの性能向上の結果として、ソフトやサービスは大型化、複雑化の道をたどっている。このようなソフトやサービスを開発するには、ある程度の人手と時間を要し、どうしても資本を持つプロ集団の成果物には勝てないことになってしまう。

 もちろん、「自分さえ面白ければ良い」という開き直りはあり得る。しかし、1人、あるいは少人数のグループに限定された行為は味気ない。やはり、PCホビイストであっても、成果は他人に見てもらってこそだ。

 このようなPCホビイストの閉塞状況は、1990年代後半から存在していたように感じられる。

 しかし、Windowsの分野でもその閉塞状況を打破するかもしれない興味深いものが“3つ”、立て続けに目に入ってきた。

 その3つとは、PHS通信機能をキーボードを内蔵したPDAと言えるWillcom W-ZERO3(Windows Mobile 5.0)、サイドバーガジェットの機能を持つWindows Vista、そしてLiveガジェットの機能を持つWindows Liveである。

 この3つは、いずれもPCホビイストにはうれしい共通の特徴を持っている。

  • リソースが限定されるため、大規模で複雑なソフトは作ることができない(資本力のあるプロにセンスだけで勝てる可能性がある)。
  • あらゆる機能を持つ万能ソフトを作ることはできない。そのため、必然的にさまざまな個性を持ったソフト群からニーズや嗜好に合わせ選んで使うことになる。ニーズや嗜好は、勝ち負けの問題ではない。先行する定番ソフトがあっても新しいソフトを作って注目となることが多いのだ。
  • 利用者が多く、注目されると考えられないスピードで多くの人の目に触れ出す。
  • 既存の技術知識を活用できる。W-ZERO3アプリでは、何も目新しいC#を学ばなくよい。昔懐かしいCで記述することもでき、2つのガジェットはいずれもWebブラウザプログラミングの伝統ある定番JavaScriptで記述する。このため、すぐにでも書き始められる人が多い。

 実は筆者はこの3つを順番に体験しつつある。

 まず、W-ZERO3用として、電車の中でプログラミングできるTiny BASIC開発環境「ワンべぇWM: An Tiny BASIC for Windows Mobile 5.0」を作った(関連リンク)

 そしてVistaのサイドバーガジェットは既に2つ試作している。うち1つは、MP3のランダム再生ジュークボックスであり、それを使い音楽を再生しながらこの原稿を書いている。まだ使い勝手が十分ではないため公開に至らないが、わずかな時間で基本機能を実装できてしまった。

 そして、3つ目がここで紹介するLiveガジェットである。

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