解き放たれるPCホビイスト――面白いから作る今どきの開発Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ(3/4 ページ)

» 2006年12月14日 08時00分 公開
[川俣晶,ITmedia]

 さて、最初の課題に対する結論に戻ろう。なぜ、筆者はLiveガジェットに注目したのだろうか?

 その答えはもうお分かりだろう。

 役立つことをいちばんに考えるわけでも、ビジネスの効率化のためでもない。しかし、作るためのハードルが低く、プロが作り上げるソフトに見劣りすることもない。そして、その影響力は、かつてないほどに土壌が整ってブームとなりやすい環境ができあがっている。つまり、PCホビイストにとって「面白いネタ」なのである。

Liveガジェットはブームになるのか?

 そもそもLiveガジェットとは何だろうか。

 ひと言でいえば、動的なWebページを構成するための部品である。

 利用者は、さまざまな機能を持ったLiveガジェットを並べて、自分のポータルページを構成したり、Liveスペースというブログ機能の画面を構成することができる。

 例えば、Webブラウザを起動すると常に表示されるホームページをWindows Liveに設定し、自分が欲しい情報を提供するLiveガジェットを並べておけば、まさにWebブラウザを開くだけで必要な情報がひと目で分かる。もはや、ブックマークを辿って、ページ間を異動しながら情報を見る必要はないのだ。

 しかし、当然のことなら利用者が見たい情報は多岐に渡る。これをプロの視点ですべてのニーズを満たすのは至難のことだ。そこで、さまざまなLiveガジェットを、アマチュアであるPCホビイストが開発することの有効性がクローズアップされるのである。

 それでは、技術的な側面から見てLiveガジェットに面白みがあるのだろうか?

 もし、分厚い本を何冊も読まなければ開発できないようであれば、現代の平均的なPCホビイストの手に負えるものではない。ましてや、学んだ知識がLiveガジェットでしか通用しないのであれば、意欲もそがれるだろう。

 しかし、心配はない。LiveガジェットはAJAX世代の技術であり、ほとんどは古く枯れた技術から構成される。主要な構成要素はXML、Dynamic HTML、CSSであり、プログラムはJavaScriptで記述する。Webで面白いことを実現したいと思うならば、これらの技術については必要最低限のものばかりだろう。また、これらを学んでも、一般のWeb開発で有益に活用できるため、決して無駄にはならない。

 極端なことを言えば、マイクロソフトの技術を100%否定するオープンソース開発へと興味を向けていっても、これらの知識は無駄にならないわけだ。

 強いて言えば、唯一Liveガジェット独自の知識となるのは、フレームワークである。Liveガジェットは、常にフレームワークと密接に連携しながら動作するためだ。しかし、これによって自由が奪われるというものではない。1つのページ上で複数のLiveガジェットが安全に協調し、動作することを保証するためのものだ。フレームワークが仲立ちしていると見るべきだろう。

 また、ドラッグするだけで並び替えを可能にするなどの機能は、フレームワーク側で用意されており、このための仕組みを自分で作り出す必要はない。このようなリッチな機能を活用するためにも、フレームワークを積極的に利用すべきである。

初めてのガジェット、何を作る?

 初めて作るガジェットの題材としては、何が良いのだろうか?

 Vistaのサイドバーガジェットであれば、時計などが良いのではないかと思う。時計は個人の嗜好と密接に結びつくため、どれほど多種類の時計ガジェットが存在しても、「私好みの時計」へのニーズが無くなることがないからだ。

 しかし、Liveガジェットで時計を作ることは環境上適していない。なぜならば、サイドバーガジェットと違い、Liveガジェットは常にデスクトップ上に表示されるわけではないからだ。Liveガジェットを並べたポータルページは、ネットサーフィンを開始する起点であり、別のページに行ってしまえばもう見えない。見えない時計は時刻を知るという機能を果たせないのである。

 それでは、どのような機能が良いだろうか。

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