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» 2006年12月27日 07時00分 公開

「松坂牛」のビジネスモデル構築(!?)を目指すやらされ感だけでは防げない! プラス志向の情報漏洩対策 第4回(1/3 ページ)

情報漏えいに対する現場の意識レベルとその現場に対する管理職の認識にはかい離が見られ、それが問題視されている。管理職は現場に向かって叫ぶだけではダメなのだ。果たして、現場の意識レベルを高めるにはどうしたらいいのか。そのために、管理職は何をすればいいのか。そして、企業はどうあるべきなのか――。

[アイティセレクト編集部]

 企業の「現場」では、情報管理のルールを導入したとしても、情報漏えいあるいはそれにつながりそうなことが起きたときにそれが緊急事態かどうか判断できる人がいない――という危険性が指摘されている(12月25日の記事参照)。例えるなら、火事になったらどうするかということをルールとして定めても、そもそも火事を見たことがある人がだれもいないため、炎や煙を見てそれが火事だと認識されることがないのである。従って、非常ベルを備えていたって、ボタンを押す人がいないのだ。これでは、スプリンクラーの機能に頼るほかない。その場合、スプリンクラーから水が自動的に噴き出されるまでの間、消火活動は何も起こらないということである。

高い意識レベルを植え付ける

 このような現場の状況を管理者側が認識していないことが問題になっている(12月25日の記事参照)。だからこそ、現場の学習能力の必要性が求められている。ルール導入の仕組みを「布の構造」に例え、縦糸(上からの統制力)と横糸(現場の学習能力)のように編み合わせて取り入れることを唱える、シーピーデザインコンサルティング代表取締役社長の鈴木靖氏は、現場が意識してルールを守るようにならないと、「縦糸で統制力を働かせても布になりきれない」と指摘する。つまり、横糸をつくる必要があるということだ。鈴木氏の言葉を借りれば、それは、情報セキュリティが「進んでいる」というより、その「設計ができている」ということなのである(12月25日の記事参照)。

 だが、実際には「現場に考えさせる」という横糸づくりは難しい。情報漏えいの問題は、火事のように疑似体験させることはできない。かといって、「勉強しろ」というだけでは一方通行の教育となる。

 そこで、シーピーデザインは、これを「二本立て」の取り組みで現場に植え付ける手法を見出した。

 まず、現場に対し、苦情・相談も含め、ふと気付いたことなどどんなささいなことでも相談用紙に記入させ、社内に設けた事務局にレポートさせるという取り組みを実施する。事務局に届いたレポートはそのままシーピーデザインに転送されるようにし、それに対し、とにかく素早く回答する。

 「疑問や問題などを一つ一つ解決するのは二の次の話。現場が思ったことに対し、すぐに回答することが重要だ。専門的なことは専門家と連携してなるべく早く回答する。そうすれば現場も、あれも聞こう、これも聞こうとなる」(鈴木氏)

 ほとんどの会社の場合、こうした取り組みをしても回答がままならず、現場も聞いても仕方ないと考えてレポートを出さなくなる。そして、その「レポートが何もあがってこない」状態を管理側が「現場はきちんとやっている」と解釈してしまっているという。これでは「やっていないのと同じ」(鈴木氏)だ。現場任せに終わっているため、せっかく縦糸をつくっても、現場がそれを無視している状態になる。

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