データウェアハウジング大手「Teradata」がNCRから独立

NCRの広報担当者によると、会社分割は双方にとってメリットになるとコメントしている。1月8日付けで発表されたこの独立への表明では、両社のビジネスモデルは明確に異なり、将来性があるものだという。

» 2007年01月09日 15時30分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 1995年以来、ATM(現金自動預け払い機)の大手メーカー、NCRの1部門として運営されてきたデータウェアハウジングプロバイダーのTeradataは1月8日、独立企業として分離すると発表した。同社では、分社手続きが完了するのに6〜9カ月を要する見通しだとしている。

 非課税扱いとなる会社分割の発表を受け、NCRの株式は1月8日に大商いとなり、株価は7%上昇した。今回の分社化で2社の株式公開企業が生まれることになる――Teradata、そして銀行用機器と小売店用レジシステムの製造・販売を手掛けるNCRの中核事業部門である。

 オハイオ州デイトンに本社を置くNCRの広報担当者によると、会社分割は双方にとってメリットになるという。

 NCRのビル・ヌーティCEOは、「Teradataと新生NCRは異なる市場で事業を行うが、いずれの市場も堅実な将来性がある。しかし、両社のビジネスモデルは明確に異なる」と話している。ヌーティ氏は2005年8月、マーク・ハード元CEOの後任として現職に就任した。ハード氏はNCRを退社し、コンピュータメーカーのHewlett-Packardの経営責任者になった。

 Teradataはデータウェアハウジングソフトの販売を手掛ける。データウェアハウジングソフトは、膨大な量のデータを詳細に調べ、小売り製品の購入パターンや各種のビジネストレンドを分析するのに用いられる。Teradataの2005年の売り上げは15億ドル、営業利益は3億90万ドルで、ここ数年はデータウェアハウジングプロバイダーとして世界でトップの売り上げを記録している。同部門の昨年7〜9月期の売り上げは、5%増の3億7800万ドルだった。

 NCRのコアビジネスは、ATM装置、小売店用レジ機器、各種専用コンピュータシステムの販売である。2005年の売上高は45億ドルで、営業利益は2億5100万ドル。

 ヌーティ氏は、「2社の独立企業を創出することは、双方のビジネスの将来性を強固にするものだ」とBloomberg Newsの取材で語っている。Teradataによると、これでIBMやOracle、EMCといったソフトウェア分野のライバルとの受注競争を有利に進められるようになるという。Teradataのビジネスを率いてきたマイク・ケーラー氏が同社のCEOに就任する。

 Teradataの主要ライバル企業であるデータウェアハウスアプライアンスメーカー、Netezzaのジット・サクセナCEOが米eWEEKに語ったところによると、この会社分割はデータウェアハウジング業界全体にとって良いことだという。

 「優秀な専業メーカーが市場で競争するというのは、顧客にとって望ましいことだ。これで優秀な企業がもう1社加わるわけだ。これはイノベーションがさらに進むことを意味し、活気にあふれた今日のデータウェアハウジング市場にとって良いことだ」とサクセナ氏は話す。

 マサチューセッツ州フレーミンガムに本社を置くNetezzaは、創業6年のグローバル企業であり、「Netezza Performance Server」(サーバ、ストレージ、データベースアーキテクチャを単一システムに統合した製品)を開発している。同製品のユーザーには、Amazon.com、Capital One Services、Cingular Wireless、Neiman Marcusなどの企業が含まれる。サクセナ氏によると、この市場は現在、非常に急速に変化しつつあるという。その背景には、従来は1週間あるいは1カ月単位で作成されていたレポートが、今日では1日、あるいは1時間単位で作成されるようになってきたことが理由にある。

 「企業ユーザーはビジネスを運営するのに、より直近の、あるいはリアルタイムの詳細なデータを必要とするようになってきた。自由の身になったTeradataとの新たな競争は、イノベーションを促進するだろう」とサクセナ氏は話す。

 1884年にNational Cash Registerとして創業したNCRはかつて、米国最大のレジスターメーカーだった。同社は1920年代、米国のレジスター市場で90%のシェアを握っていた。1990年代にはコンピュータネットワーキング装置の開発を手掛けるようになり、1991年にAT&Tに買収された。AT&Tによる買収後、NCRはTeradataを買収によって手に入れた。そして1995年にAT&TはNCRを分離した。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ