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» 2007年02月20日 08時00分 公開

ブレインダンプ系の試験対策サイトにはご用心 (1/2)

苛烈な競争下にあるITプロフェッショナルの人材市場において、オープンソース関連のトレーニングと認証資格の有用性に疑問を挟む人間はまずいないだろう。ただし、どのような場所からトレーニングに必要な情報を入手するかについては、注意が必要だ。

[Lisa-Hoover,Open Tech Press]

 苛烈な競争下にあるITプロフェッショナルの人材市場において、オープンソース系ソフトウェアを熟知することは条件の良い職に就くための1つの要素であり、そうしたオープンソース関連のトレーニングと認証資格の有用性に疑問を挟む人間はまずいないだろう。ただし、どのような場所からトレーニングに必要な情報を入手するかについては、注意が必要だ。

 多くの人々がオープンソース系ソフトウェアに関する資格を取得しようとしているが、その目的は、プロフェッショナルとしての自分の価値を高めたいという場合もあれば、純粋に自己啓発の一環として行う場合もあるだろう。そして、認証資格プログラムの制作サイドから寄せられる反対意見をよそに、こうした資格試験のシステムの大半が、試験対策のカリキュラムを受講しなくても本番の試験を直接受験できるようになっている。また資格取得の試験対策にはさまざまな形式が存在するが、最も一般的なのは、オンラインでの受講、関連書籍の購入、実地での演習という方式だ。

 Red HatNovellSGIなどの大手ベンダーからは、各自の製品に関する認証資格プログラムが提供されている。より一般的なオープンソース系の認証資格となると、Webサイトを用いたオンライン形式の試験対策カリキュラムが幾つか存在しているが、その内容は各種のソフトウェア企業が販売している訓練プログラムをベースとしたものだ。実際、多くの人間にとってこうした訓練サイトは有用であり、試験対策としての効果も十分に期待できるだろう。

 問題は、同じようなトレーニングサイトでも、最初の受験での一発合格を“100%保証”という謳い文句で認証資格の希望者を誘い込んでいるようなところだ。この種のサイトは「ブレインダンプ」(brain dump)と呼ばれることが多いが、認証資格プログラムの主催者とその受験者の双方から、猜疑の目で見られている存在なのである。こうしたサイトの中には、単に信用できないだけならまだしも、下手をすると完璧な違法活動を行っているところもあることが、認証資格の業界では半ば常識化している。

 「こうしたWebページに掲げてある謳い文句は信頼できませんし、場合によっては(問題のサイトが)試験問題を倫理的にもとる手段で入手しているケースもあるのです」と語るのは、Linuxおよびオープンソース関連の認証資格試験とトレーニングプログラムを提供する独立系組織のLinux Professional Institute(LPI)にて広報責任者を努めるスコット・ラムベルトン氏である。「確かに幾つかのサイトは合法的なものであり、正規に公開されている試験要項を基に独自の例題を作成しているところもあります。ところがブレインダンプ系サイトは、受講者を勧誘する手段として、裏口から実際の試験問題を入手しているんです」。

 ブレインダンプ系サイトが原因でIT業界に巻き起こっている波紋には、さまざまなものがある。1つ目は、こうしたサイトに試験問題を提供する者の中には、該当する資格試験を以前に受験した人々がいるのだが、そのような試験ではたいていの場合、試験の内容を第三者に販売ないし譲渡しないことを定めた機密保持契約(non-disclosure agreement:NDA)を受験前にサインさせているはずなのである。試験の問題を暗記して持ち帰り、それを誰かに提供したとなると、こうした機密保持契約を真っ向から破っていることになる。2つ目は、試験問題の提供者が暗記して持ち帰った情報に記憶間違いはないのかという問題であり、そのようにして得られた怪しげな設問に価値があるのかという疑問である。3つ目は、ブレインダンプ系サイトの存在が、実力で認証資格に合格した人々の価値をも損ねているという問題である。あるいは、認証資格という制度そのものの信頼性が、ブレインダンプ系サイトによって傷つけられているとも言えるだろう。

 いかがわしげな試験対策サイトは、関連するベンダーや正規の認証資格サイトにとって、以前から厄介者的存在であった。「これは試験業者すべてにとっての悩みの種です」とMySQLの認証資格マネジャーを務めるカールステン・ペーダーセン氏は語る。「いい加減な試験問題を売りつけているサイトの存在に気づいているのに、その対策を何も取らないでおくと、結果的には自分のところの認証資格プログラムそのものを損なうことになります。認証資格試験の価値というのは、本質的にそれが信用できるか否かにかかっているのですから」。

 この種のサイトについては、過去においてCheetSheets.com(別名Cheet-Sheets.com)、TestKiller/TroyTec.comTest4U.netなどについての訴訟が行われているが、その裁定結果はまちまちな内容であった。オープンソフトウェア系認証資格プログラムが注目している最近の事例としては、TestKing.comという試験対策Webサイトに対してMicrosoftが行った訴訟がある。この訴訟では、Microsoftの主催する資格試験の問題を無断に配布したとして、企業機密および知的財産を保障した連邦法(18 USC 1832)に対する違反行為で、TestKingの所有者が訴えられている。Microsoft側の主張によると、TestKingの提供している試験問題は、Microsoftが著作権を有する認証資格試験の内容と「同一ないし非常に類似」しているということだ。

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