Google AppsはMicrosoft Officeキラーになるか(1/2 ページ)

Googleはできるだけ控えめに言ってるのかもしれないが、Google AppsはついにMicrosoft Officeを追撃する製品になった。この製品にはMicrosoftに打撃を与えるだけの要素がある。

» 2007年02月23日 19時06分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 狭いホテルの1室に閉じ込められた2人の大男のごとく、米GoogleとMicrosoftはこれまで互いにぶつかり合ってきたが、少なくともうわべは礼儀を保っていた。しかしそれも終わった。新登場のGoogle Apps PremierとStandardエディションで、Googleはハイテク業界のルームメートに一撃を加えた。

 具体的に言うと、Googleは家庭から企業まであらゆるユーザー向けに、Google Docs and Spreadsheets、Google Calendar、Gmail、Google Talk、Webページ作成ツールのGoogle Page Creator、Start Pageの各アプリケーションをひとまとめにしたセット製品を提供する。個々のアプリケーションに新しいものは何もない。

 これらのGoogleアプリケーションはすべて1年以上も前から提供されていた。それぞれが特定分野で少なくとも基本的なオフィス機能を備えている。例えばGoogle Talkは素晴らしいIM(インスタントメッセージング)・VoIPクライアントだ。Google Docs and Spreadsheetsは基本的なワープロと表計算機能を組み合わせ、複数のユーザーが1つの文書を作成できるようになっている。その間にあるGmailとGoogle CalendarはほとんどMicrosoft Outlookの機能を複製したもの、といった具合だ。

 こうしたアプリケーションをすべてひとまとめにすると、Microsoftの、特にMicrosoft Office 2007の打倒を狙ったものに見えてくる。

 Googleは企業向けに99.9%のアップデートSLA(サービスレベル契約)を提示し、ダウンタイム保証と、1カ所で全機能の利用と集中管理ができるユーザーインタフェースを顧客に提供する。これに加え、1アカウント当たり年間50ドルのPremium Editionでは、1アカウント当たり10Gバイトの電子メールストレージと、データ移行やメールゲートウェイ、ユーザープロビジョニング/シングルサインオンのためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を提供し、企業がGoogleサービスをカスタマイズできるようにする。

 ずばり、これはGoogleによる待望のMicrosoft Officeキラーだ。GoogleのMicrosoft Office追撃について、わたしはかつて疑いを持っていた。当時わたしは言った。Googleが法人市場に進出するためにはDocs(当時Writelyと呼ばれていた)とSpreadsheetsを組み合わせる必要があると。Googleはその通りのことをやった。

 SMB(中堅・中小規模企業)にリーチするにはそれで十分かもしれないが、大企業にとって十分とは言えないとも思った。大企業にはSLAが必要であり、Googleアプリケーションを既存のITインフラに統合する手段が必要で、ユーザー管理のための優れたツールが必要だ。なるほど、確かにGoogleはこれをすべて提供している。

 そういえば、Googleのエンタープライズ部門担当副社長兼ジェネラルマネジャー、デイブ・ギルアード氏は、Google Appsのせいで企業のITバイヤーが「Microsoft製品の購入を減らす」ようなことにはならないだろうと言っていた。なるほど。「君にひじをぶつけるつもりはなかったんだ」というわけだ。

 今起きているのはそういうことだと思う。GoogleはGoogle Appsで優秀なSaaS(サービスとしてのソフトウェア)を手にしている。Googleもそれは承知だ。ユーザーにも分かっている。そしてMicrosoftにも。GoogleはMicrosoft Officeに真っ向から立ち向かいはしないが、喜々としてあらゆる角度からMicrosoftを痛めつけるのだ。

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