次に30mのドラムコードを利用し、伝送距離をさらに伸ばした場合も測定してみた。こちらの結果は、1F-2F間でにコンセントじか付けの結果とほぼ一致している。この状態で30m程度コードを伸ばしても、速度はほとんど落ちていないようだ。仕様では「最大150mまで伝送できる」とあるので、筆者宅と同じような条件で、3Fぐらいの家屋で通信しても10Mbpsぐらいのスピードは維持できそうだ。
さらに、1Fでの実験と同じようにケータイの充電器などから発生するノイズの影響も調べてみた。ドラムコードのコンセントにケータイの充電器を差すと、やはり3〜4Mbps程度速度が落ちるようだ。加えてPDA用のACアダプタを差すと、同じぐらい速度が低下した。
この結果はあくまで筆者宅での場合であり、環境に大きく左右されると考えられる。いずれにしても、PLCで通信速度を上げたいならば、ノイズフィルター付きの電源タップに接続するなどして、充電器やACアダプタなどの影響をしっかり排除する必要があるだろう(PLCアダプタ自体をノイズフィルター付きの電源タップに接続すると逆に速度が落ちるので注意)。
なお、今回は残念ながらスペクトルアナライザやFFTアナライザなどの機材を調達できなかったため、各所で指摘されているような、高速PLC通信の電磁波漏えいに関しての検証はできなかった。PLC導入時は、漏えい電磁波がほかの機器に影響を与えることがある点も頭に入れておきたい。
総じて、筆者宅のPLC速度測定結果では「無線LANのIEEE 802.11bよりは良く、11a/gよりは少し劣る」という値になった。PLC導入の決め手は、速度を選ぶのか、あるいは利便性を選ぶのか、という二者択一ということになるだろう。速度を追求したいならば、やはり現時点では無線LANで11a/gや11nドラフト対応製品をチョイスした方がいいかもしれない。逆に電波が届かない場所や、有線LANを敷設できないような物理的な制約があって、なおかつ速度にそれほどこだわらなくてもいいなら、PLCは有効な通信手段になると思われる。
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