「第2新卒多数輩出」とならないために“若葉マーク”社員を活性化させる「実感主義」の育成戦略(2/3 ページ)

» 2007年02月26日 09時07分 公開
[アイティセレクト]

手間をかけずにノウハウをドキュメントに

 そもそも、現場の仕事は通り一遍の作業フローを理解しただけですべてうまくいくものではない。経験の中で細かなノウハウが各人に蓄積されていく。多くの企業でベテラン社員が退職していく中、こうしたノウハウをドキュメントにしていく作業が取り組まれている。(参照記事)

 しかし、そもそも50代後半、もしくはそれより年配のベテラン社員の技を、継承できていないのはなぜなのだろう。40代の社員がそのノウハウなり技術を30代から教え込まれていれば、いま慌てる必要はないのではないだろうか。

 あるプラント会社での取材で聞いた話だが、現場の配管の異常をハンマーで叩きながら調べる作業があるのだが、どんな細かい異常もハンマー一本で当ててしまうベテラン社員が退職してしまうので困っているという。要するに代わりの人が社員の中にいないというのだ。

 どうしてそんなに大切な作業上の技を、だれかに継承するということができていなかったのか、と聞くと、現場の教育については現場任せで、管理部門は口を挟まなかったとのことだった。

 これは想像でしかないが、おそらく管理部門は配管の点検作業が日々の作業の中でいつ行われるかは把握していたのだろう。しかしその点検作業の中でどのような作業が積み重ねられているか、そしてその一つ一つの作業を誰が担当しているかまでは把握していなかったのではないか。

 若手社員が「こんな毎日で成長している実感が持てない」と思った時、それはただの疲れから来る愚痴ではないケースも多い。

 ポータル上でベテラン社員から、具体的なトラブル解決策を教えられ、これまでと仕事に対する姿勢がまったく変ってきたという例もあるように、小さな伝承が自分のしている仕事に対する大きな手ごたえを生み出す可能性を秘めている。

 仕事の手順はできるだけ簡素にするほうが効率的だが、それでもところどころに「うまく行くコツ」が隠されていることを積極的に伝えていく必要があるのではないか。それは、できればいつでも、疑問に思ったときにすぐに知ることができる状態にしておいた方がいい。

 日々、若手から中堅までの幅広い階層の社員がベテラン社員に質問をし、ベテラン社員がそれに答えることを繰り返し、その質疑応答をFAQの形で編集して蓄えていくのも良い方法だといえるだろう。

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