「第2新卒多数輩出」とならないために“若葉マーク”社員を活性化させる「実感主義」の育成戦略(3/3 ページ)

» 2007年02月26日 09時07分 公開
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採用コストの高い会社のままでいいのか

 不況が長引き、現場が殺伐としてベテラン、中堅、新人といった社員同士のコミュニケーションの質が変ってしまった、だから若手社員が辛い仕事の中でそれを乗り越えるきっかけを得られず、喜びや知的興奮を覚える機会も減ったという言い方をするのは簡単だ。

 しかし、変質してしまった人間関係が急に理想的な方向に変る可能性は低い。ということは何か手立てを加えるしかない。その一つとして現場の作業の中で、どちらかというと単純な作業を強いられることの多い若手社員をいったん現場から引き離し、新しい技術や知識を徹底的に叩き込み、リフレッシュさせ現場に戻し、現場そのものを変える原動力にするという手立てもある。(参照記事)

 入社3年以内の新卒社員の3割以上が退職している、という事実には、いろいろな背景がある。社会そのものが変ってきているのだから、そういう状況は今後も続くという解釈も成り立つ。しかし、いずれにしても次があるかどうか不透明な労働市場の中で、バブル期と同様の現象が起きているのは何かこれまでにない背景があると考えるべきだろう。

 そして今後、新卒学生の採用が「買手市場」から「売手市場」に変っても、また同様のことが起きる可能性が高い。不況だろうと、好況だろうと、苦労して採用した若い人材が3年以内に3割退職する時代、若い人材に成長している実感を与えられる会社になるか、状況に流され何もしないまま、高いコストをかけて余剰人員も含めた採用を続けるか、どちらが進むべき道かははっきりしている。

 取材を通じて、感じたことは伝えることの大切さ、である。多くの会社が、経験年数の長い人から順々に、ノウハウや知識を必要最低限伝えきれていないのではないだろうか。伝えていたとしてもそれは「口伝」のみで済まされ、いつのまにか記憶から消えていってしまっているのかもしれない。

 若い人材に、現場の仕事にひたすらまい進してもらうのも重要だが、ここまで紹介してきた、さまざまなITを使った手法で、仕事に役立つ知識やノウハウを蓄え、伝えるということを意識的に現場以外の部署が取り組んでいく必要がある。それは人事・教育関連の部門かもしれない。ただ、こうした部門と現場に近い誰かが連携して、手立てを考え、実行することになるだろう。

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