「Microsoftとの契約を後悔していない」――NovellのCEO(1/2 ページ)

Novellのロン・ホブセピアンCEOは、オープンソースコミュニティーからの多くの異議を引き起こした同社とMicrosoftの契約を悔やんでいないと述べた。

» 2007年03月23日 12時52分 公開
[Per Galli,eWEEK]
eWEEK

 物議を醸しているNovellとMicrosoftの特許契約は、今週ソルトレークシティで開催された同社の年次「BrainShare」カンファレンスでも大きな関心を集めたが、Novellのロン・ホブセピアンCEOは、同社の選択を悔やんでいないという。

 ホブセピアン氏は、この契約はLinuxの普及を促すとともにNovellにもメリットがあると主張し、最近獲得した幾つかの大口契約は、Microsoftとの契約がなければあり得なかったと指摘した。

 NovellがMicrosoftと結んだ契約の中で、オープンソースコミュニティーの一部の人々を最も怒らせた部分は、訴訟を起こさないという約束だ。これについてホブセピアン氏は米eWEEKの取材で、「当社の顧客を守りたいという純粋な気持ちから合意したことだ」と答えている。

 「われわれが結んだ契約は相互運用性に関するものだが、Microsoftの要求で追加された条項の1つが、顧客を提訴しないという約束だ。それでこのような形になったのだ」と同氏は説明する。

 同氏によると、この契約にはクロスライセンス条項が含まれていないため、MicrosoftとNovellは互いに相手に対して訴訟を起こすことができる。これは単に顧客を提訴しないという約束に過ぎず、顧客をそういった論争に巻き込まないようにするのが目的だという。

 「GPL2(General Public License 2)に違反するつもりはない。われわれはGPL2をとても尊重している。われわれはLinuxに強くコミットしており、特許に関する当社の従来の立場の上に新たな層を構築するというのがこの契約の本質だ。われわれは、もう1つの保護層を提供するOpen Invention Networkにも投資した。Microsoftとの契約も、企業へのLinuxの普及を促すために顧客を守る保護層であると考えている」と同氏は語る。

 ホブセピアン氏によると、NovellとMicrosoftの契約の最初の提案には、訴訟をしないという約束は含まれていなかったという。「これはMicrosoftが契約で求めていたビジネス上の条件の1つだった。交渉では二義的な問題として扱われ、議題に上っていた時間も少ない」と同氏は話す。

 訴訟を行わないという条件をNovellが拒否した場合でも契約が成立していたかとの質問に対してホブセピアン氏は、「面白い質問だが、正直言ってそれは分からない。われわれの議論の中心になっていたのは、ユーザーにとっての相互運用性に関することだ」と話す。

 この契約で訴訟をめぐる条項が論争を引き起こした今となっては、その部分に合意したことを後悔しているかという質問には、「まったく悔やんでいない」とホブセピアン氏は答えている。企業として、またオープンソースコミュニティーのメンバーおよびコミュニティーの管理人としてNovellが成熟したことは、同社が特殊な立場にあり、顧客との関係とコミュニティーとの関係の間でバランスを取る必要があることを意味するという。

 「コミュニティーに指図をするのはわれわれの仕事ではない。何をどうするかはコミュニティーが決めることであり、われわれはそれに協力するつもりだ。しかしコミュニティーの発展に貢献するための活力を与えてくれるのは顧客であるとわれわれは認識しており、顧客にとって必要であれば、すべての要素の間でバランスを図る必要がある。今回の決定もそういった理由によるものだ」(同氏)

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