「Microsoft Officeは開発プラットフォームである」――MS幹部がVSLiveカンファレンスで強調

Microsoftは、Office関連アプリケーションの開発ツールである「VSTA(Visual Studio Tools for Applications)」に向けた、新しいSDK(ソフトウェア開発キット)を発表した。

» 2007年03月29日 16時21分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 「MicrosoftのOfficeは開発プラットフォームである。そのことを忘れないでもらいたい」。

 サンフランシスコで開催された「VSLive」カンファレンスのキーノートスピーチで、MicrosoftのVisual Studio部門のゼネラルマネジャー、KD・ホールマン氏はこのように語り、Office 2007とそのコンポーネントが開発者にもたらすメリットを強調した。

 Microsoftは、Officeレパートリーの中の主要ツールである「VSTA(Visual Studio Tools for Applications)」用の新しいSDK(ソフトウェア開発キット)を発表した。

 VSTAはVBA(Visual Basic for Applications)の後継製品となるもの。VBAは10年前から利用されている内蔵型の統合ツールで、ホールマン氏によると約2000万人の開発者が利用しているという。

 しかし、VBA技術にも老朽化が目立ってきたようだ。「IT業界は変化した。VSTAはVBAの後継製品であり、.NET Frameworkをベースとする。これはVBAのコンセプトに改良を加えたものだ。VSTAはOfficeに含まれ、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)に提供されている」とホールマン氏は語る。

 ホールマン氏によると、Microsoftは「Office InfoPath 2007」を通じてVSTAを提供しているという。

 InfoPathに関してホールマン氏は、「Officeの中でVSTAを最初に採用するのに最も適したアプリケーションを選んだ。InfoPathはそれ自体が開発ツールである」と述べている。

 Microsoftは今後も、VBAを利用するISVのためにこのツールをサポートする予定だが、同社はVSTAの利用を促している。

 VSTAは、「VSTO(Visual Studio Tools for Office)」と同じアーキテクチャをベースとする。「このため、業務部門のスタッフがVSTAを使って作成したアプリケーションをITスタッフに引き渡し、VSTOを使ってそのアプリケーションを全社規模で利用できるように拡張することができる」とホールマン氏は説明する。

 またVSTOは、Visual Studioツールセットの次期リリース「Orcas」の一部になる予定だ。具体的には「Visual Studio Professional Edition」に含まれる。

 ホールマン氏によると、VSTAの早期採用ユーザーは、VBAを使用した場合と比べて最大で30%効率が改善されたと報告しているという。

 MicrosoftのVSTOチームの開発マネジャー、エリック・カーター氏はデモの中で、同氏がMicrosoftのデザインツール「Expression Blend」を使ってデザインしたWPF(Windows Presentation Foundation)コントロールを紹介し、さらにOfficeツールセットであるVSTAを使って、このコントロールをOfficeアプリケーションに直接組み込んでみせた。

 ホールマン氏によると、同氏のチームは現在、VSTAバージョン2の開発に取り組んでいるという。新バージョンでは、WFPおよびWindows Communication Foundationがサポートされる予定だ。

 Microsoftでは、今後もVSTAを使って個別業界向けのOffice Business Applicationを開発する一方で、同プラットフォームを顧客にも提供し、顧客企業のビジネスニーズに合ったアプリケーションを開発できるようにするとしている。

 「われわれは自社製のドッグフードを食べている」とホールマン氏は話す。これは、Microsoftの従業員が新製品の開発や日々の業務で、自社の技術を利用していることを意味する同社の決まり文句である。

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