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» 2007年04月02日 09時30分 公開

家電代わりは無理? Vistaのデジタルメディア機能をチェック (1/3)

高精細(HD)ビデオのサポートや提供するAV機能の見直しなど、Windows Vistaではホームエンターテインメント向けの強化が施されているが、コンシューマーがPCを家電製品の代わりに使用するようになるには、まだ克服すべき課題が残されていると言えそうだ。

[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Windows Vistaではホームエンターテインメント機能が強化され、高精細デジタルケーブルテレビの再生と録画が可能になったほか、Windowsオーディオサブシステムの抜本的な見直しや、デジタルメディアインタフェースおよびアプリケーションの強化も行われている。また、Media CenterのインタフェースがVistaの主要なコンシューマー向けバージョンに組み込まれたことで、ホームエンターテインメントへのPC利用が促進されるかもしれない。一方で、PCであるがゆえの複雑さや、コンテンツ所有者が抱くPCでのコンテンツ利用に対する不信といった長年の問題については、解決からさらに遠ざかったものもある。

新しい機能、新しい課題

 Microsoftは近年、デジタルビデオレコーダーやDVDプレーヤーなど複数のAV家電に代わり得るものとしてPCを位置付けてきた。この戦略が本格的に始まったのは、2002年秋にWindows XP Media Center Editionがリリースされたときのことだ。同製品は、エンターテインメント向けOSとして特化されたWindowsであり、TVの視聴や録画、CD、DVD、PCのオーディオやビデオファイルの再生など、デジタルメディア機能をリモコンで操作できるインタフェースを備えている。

 この戦略の最大の目的は、Windowsの売上増加である。1990年半ばにWebアクセスと電子メールに対する需要がコンシューマー向けPCの急成長をもたらしたように、新しいエンターテインメントの楽しみ方が、コンシューマーPC販売を活気付けることをMicrosoftは期待しているのだ。これは主に、デジタルメディアを操作するには、高いCPUパワー、メモリ、記憶装置、そのほかのハードウェア(グラフィックスカード、サウンドカード、スピーカー、マイクなど)が必要になるため、多くのユーザーが新しいPCを購入しなければならなくなることが理由だ。

 ただし、Microsoftはこの戦略を進める上で、以下のような大きな課題に直面している。

確立されているAV家電の優位性 ユーザーも小売店も各用途に特化された家電製品に理解があり慣れ親しんでいる。Microsoftとそのパートナーは、PCの持つ大きな魅力が理解されるよう働きかける必要がある。

PCであるがゆえの複雑さ PCはさまざまな機能を実行でき、複数のベンダーが提供する多様なハードウェアとソフトウェアを利用するため、AV家電製品に比べて設置、使用、保守が複雑になることは免れがたい。

コンテンツ所有者のPC使用に対する不信 コンテンツ所有者の多くは、PCの持つオープンなアーキテクチャ、デジタルコンテンツの複製の容易さ、高速インターネットアクセスを、著作権侵害行為を助長する要因と捉えている。しかし同時に、デジタルメディアのための著作権保護テクノロジが行き過ぎると、CDやビデオカセットなど従来のメディアと同じ柔軟性を期待するエンドユーザーを遠ざけることになりかねない。

 これらの課題を克服することは、難しい。例えば、Vistaは新しい種類の高精細ビデオをサポートしているが、同等の家電製品では既に同じ(かそれ以上の)機能を提供しているうえ、使いやすく価格も低い。

 Microsoftは、PCがほとんどのユーザーにとって理想的なエンターテインメント機器ではないことに気付いているようだ。徐々にコンシューマー向けエンターテインメント戦略を拡大し、ほかの機器(例えば、XboxやZune製品ファミリーのように、ハードウェア、ソフトウェア、オンラインサービスを組み合わせたプロプライエタリ製品)に力を入れるようになってきている。また、PC以外の機器用のデジタルメディアテクノロジーの開発も進めており、IPTVシステム用のソフトウェアや、携帯電話用のデジタル著作権管理テクノロジーなどに取り組んでいる。この新しいアプローチに合わせて、Media CenterとWindows Mediaプラットフォームの製品チームが、Windows部門から、Xbox、Zune、IPTV、モバイルおよび組み込みデバイス用のソフトウェアを担当するエンターテインメント&デバイス部門に異動している。

 以上を考えると、Windows Vistaは、従来の家電機器に代わるものとしてPCの位置付けを図るMicrosoftの最後の大きな取り組みと見ることもできる。Vistaがホームエンターテインメント機器としての地位を確立できなかった場合、Microsoftはほかのエンターテインメント製品に力を入れていくことになるだろう。MicrosoftはWindowsのメディア機能の強化や、新しいメディアへの対応を続けてはいくものの、同社とそのハードウェアパートナーは、モバイルや個人の生産性、コミュニケーションといったほかの機能領域を頼りに、コンシューマー向けPCのアップグレードの促進を図るようになるだろう。

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