家電代わりは無理? Vistaのデジタルメディア機能をチェック(3/3 ページ)

» 2007年04月02日 09時30分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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オーディオ機能の強化

 Vistaのオーディオアーキテクチャーは、以前のバージョンから大幅に変更されている。最大の変更は、多数のオーディオ機能がOSカーネルからユーザースタックに移行されたことで、システム全体の信頼性が向上している(これまでのWindowsでは、オーディオ関係のエラーが、システムクラッシュの主な原因の1つだった)。また、ユーザーモードで実行されるオーディオアプリケーションからの、カーネルモードで実行されるドライバへの呼び出し回数が減ったことで、パフォーマンスも向上した。新しいUniversal Audio Architecture(UAA)ドライバモデルは、オーディオ機器の取り付けの簡素化、オーディオ処理に伴うCPU負荷の削減、デバイスメーカーによるオーディオドライバの開発と配布の必要性をなくすことを目的としている。

 また、Vistaでは、以下のようなエンドユーザー向けの新しいオーディオ効果、ツール、ウィザードを提供している。

  • 異種ソース(例:CD、Webサイト、デジタルオーディオファイル)間で共通の音量
  • スピーカーの設定を支援する室内音響補正ウィザード。Vista PCが音声サラウンドスピーカーを使ったホームエンターテインメントシステムのハブとなる場合は、特に便利だ。
  • ステレオ信号の分割。音声サラウンドシステム(5.1または7.1)の全チャンネルが使われる。
  • 低音管理機能の向上。低周波オーディオ信号のひずみを防止する。
  • ラップトップ用のオーディオ設定。ヘッドフォンの音を音声サラウンドのようにしたり、ラップトップでよく起きる小型スピーカー使用時の低音信号のひずみをなくすように調整できる。

 ただし、上記の変更は既存のオーディオ装置に新しいドライバが必要になることを意味する。例えば、外部サウンドカードの中には、Vistaのリリース時にVistaでは動作できないものがあった。

ユーザーインタフェースおよびアプリケーション

 Vistaでは、Windowsに組み込まれているデジタルメディア関連のユーザーインタフェースおよびアプリケーションの改良と、DVDビデオ作成用の新しいアプリケーションが追加されている。しかし、Vista搭載のアプリケーションのほとんどは、AdobeやSonic Solutionsが提供するアプリケーションや、Mac OSに搭載されているアプリケーションに、依然として機能面では追いついていない。

Media Center Media Centerの最大の変更は、Media CenterがWindowsの独立したエディションではなくなったことだ。Media Centerは現在、ほとんどのコンシューマー向けPCで標準のOSとなるであろうVista Home Premiumと、最上位エディションであるVista Ultimateに組み込まれている。これにより、Vistaのリリース初年度で数千万のユーザーがMedia Centerに触れる機会が即座に生み出され、Media Centerのユーザー層が劇的に拡大することになる。また、別の目的でPCを購入するユーザーの多くが、ホームエンターテインメントにも新しいPCの利用を検討するようにもなるかもしれない。Media Centerではメニューも改良され、インタフェースにより多くのグラフィックス(アルバムの表紙など)が使われるようになった。「Online Spotlight(日本国内のサービス名:メディアオンライン)」にもコンテンツが追加され、ダウンロード可能な映画サービスのVongoや、ユーザーが好きなスポーツ選手のプレーをオンデマンドで再生できるSports Loungeなどが新たに提供される。

 既存のMedia Center機能の中には、削除されたものもある。特筆すべきは、既存のMedia Center Extenders(Windows XP Media Center PCからTVの操作を可能にする機器)のほとんどがWindows Vistaではサポートされないことだ。Vistaのリリース時点では、Extender(PCからTVの操作を可能にする機器)として利用できる機器はXbox 360のみである。ただし、パートナーの少なくとも1社Hewlett-Packardは、Vista対応Media Center Extenderテクノロジーを組み込んだTVの提供を計画している。

Windows Media Player 11 2006年11月からWindows XP向けに提供されているWindows Media Playerの最新バージョンで、さまざまな機能強化が施されている。例えば、ユーザーインタフェースの簡素化や、多数のコンテンツを表示するライブラリのスクロールの高速化、WAV(ロスレス)やWindows Media Pro形式へのCDリッピング機能、オーディオフィンガープリント機能(不明な音楽ファイル内の音声データを基に、そのファイルを自動的に識別し、ラベルを付けることができる技術)、MTV Urgeストアとの連携などがある。

 Vista版のWindows Media Playerには、XP版にはない特筆すべき機能がある。ネットワーク上のほかのコンピュータ(XPまたはVista)が音楽ライブラリを共有している場合、Vista PCでネットワークを介してこのライブラリ内の楽曲を再生できる機能だ。

ムービーメーカー6.0 Windows ME以降のすべてのバージョンに搭載されているビデオ作成アプリケーションである。Vista Home PremiumおよびUltimateに搭載されるバージョンでは、高精細ビデオカメラで撮影されたビデオを取り込み、編集できる。MPEG-2ビデオの編集、高精細Windows Media Video形式(品質を維持しながらファイルサイズを圧縮)のファイルの公開、Media CenterのDVR-MS形式(MPEG-2の一種で、Windows Mediaファイルラッパーでラッピングされている)で録画されたTV番組のインポートといった機能は、どのバージョンのムービーメーカーでも提供される。また、インタフェースも多少変更されたほか、新しいアニメーション効果が追加されている。

DVDメーカー Vistaのコンシューマー向けの上位エディションに搭載される新しいアプリケーションで、一般のDVDプレーヤーで再生できる形式でDVDにビデオや静止画のスライドショーを書き込むことができる。DVDメーカーでは、自動的にコンテンツがスキャンされ、論理的な切り替えポイントにチャプターの区切りが挿入される。また、ムービーメーカーやフォトギャラリー(デジタル写真の保存と編集に使用するVistaの機能)からDVDメーカーにアクセスでき、ユーザーが自作ビデオやスライドショーを容易にDVDに書き込めるようになっている。

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