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» 2007年04月13日 16時42分 公開

Oracle、新たな「Project X」でSOA連携レベル上げる

米Oracleに近い筋の情報によると、同社は「Fusion Applications」の普及促進の可能性を見込み、新たなSOA戦略を構築しているという。

[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Oracleは米国時間4月16日から、ラスベガスで年次カンファレンス「Oracle Applications Users Group」を開催する。同社の共同社長であるチャールズ・フィリップ氏は同イベントで基調講演を行い、「Project X」のコードネームで呼ばれるコンポジットアプリケーション戦略を発表する予定だ。Project Xの真価は、特定のビジネスプロセスに基づき、Oracleのさまざまなアプリケーションスタックから「最高の」機能を抽出し、組み合わせることのできるアプリケーション統合フレームワークだ。匿名の同情報筋が話している。

 「Project Xは、ユーザーが『I-flex』や『Siebel』『Oracle』などからすぐれた機能を選択し、これらを組み合わせて単独のプロセスとして利用できるプロセスセットだ。同統合フレームワークがOracleアーキテクチャからさまざまな機能を取得し、可能な範囲内で最高のワークフローを作製するプロセス連携を実現する。ただしユーザー側には、各種スイートの機能を利用できるように、基本的なミドルウェアが必要になる」(同情報筋)

 同統合フレームワークの技術的な詳細やプロセス定義の範囲などはまだ不明だが、カリフォルニア州レッドウッドショアに拠点を置くOracleは、独自のコンポジットアプリケーションを開発するとともに、プロセスに従ってユーザーが所有するコンポジットの組み合わせに必要なサービスを提供していくようだ。

 例えば、Siebel、「Oracle E-Business Suite」および「Net4Call」の機能を統合し、電気通信業界向けの顧客オンボーディングプロセスを構築することなどが考えられる。同統合フレームワークを機能させるためには、全ユーザーが「Fusion Middleware」の最新版を利用していなければならない。

 もっとも、2005年1月以来、Oracleが作り上げてきた合計28種におよぶスイートの機能にアクセスするのに、2008年中にリリースが予定されているFusion Applicationsへ移行する必要はないという。したがってJD Edwardsユーザーは、各スイートのライセンスを取得したり、Fusion Applicationsの登場を待ったりすることなく、同統合フレームワークを用いて、G-Logの物流ハブやDemantraの需要計画機能、SiebelのCRM(Customer Relationship Management)機能にアクセスできるのである。

 Project Xの開発および提供をめぐっては、統合フレームワークの存在がFusion Applicationsの必要性を減じるのではないかという議論が巻き起こっている。

 Gartnerのアナリスト、イボンヌ・ジェノベーゼ氏は、同統合フレームワークは「OracleからFusion Applicationsの開発意義を奪うものではないが、Fusion Applicationsの魅力を薄れさせる可能性は否定できない」と指摘した。「Fusionを初めて世に発表した当時、ユーザーはそれまで取得してきたアプリケーションに執着しており、簡単に手放そうとしないことを、同社はそれほど見込んでいなかった。Fusion Applicationsは、JD Edwardsユーザーにとっては新たにインストールする製品となることが分かっているが、彼らがそうした大規模なアップデートを実施する見込みは高くない。つまり、市場にはOracleの統合フレームワークを受け入れる余裕がかなり残っているのである」(ジェノベーゼ氏)

 また一部からは、顧客がOracleから購入した製品を刷新し、Fusionアプリケーションの先端技術を取り入れたいと望むようになるまで、Fusion Applicationsを提供する必要はまったくないという声も上がっている。

 SOAを活用してコンポジットアプリケーションを作るという考え方は、特に目新しいものではない。SAPは2003年に同様の概念を提唱し、「xApps」という言葉を考え出して、「Enterprise Services Architecture」戦略および「NetWeaver」統合プラットフォームの青写真を描くことを始めた。

 ドイツのヴァルドルフを本拠とするSAPが開発したそのほかのソリューションとしては、モデル駆動型アプリケーション統合をサポートするコンポジットアプリケーションフレームワーク、ビジネスオブジェクトおよびプロセスから基礎システムのレポジトリを切り離し、「スナップオン」機能を実現するオブジェクトアクセスレイヤー、ユーザーインタフェースレイヤー、NetWeaverのあらゆるサービスおよびオブジェクトを、そのほかのビジネスオブジェクトと関係付けるコラボレーションフレームワークなどが、同社のWebサイトに掲載されている。

 何度も買収を繰り返し、SAPとOracleに次ぐ世界第3位の大手ビジネスアプリケーションプロバイダーとなったジョージア州アルファレッタのInfor Global Solutionsも、同社が開発したフレームワークを用い、ユーザー自身がプロセスに沿ってコンポジットを作製できるようにするSOA戦略を最近になって発表した。

 Oracleが活用したいともくろんでいるコンセプトは、ユーザーの間でも定着しつつあるようだ。

 AMR Researchが2006年に実施した調査プロジェクトでは、すでにSOAを利用している163社のうち21%が、インストール済みのアプリケーションの機能を強化する目的で、コンポジットアプリケーションの購入および導入を考えているという結果が出ている。さらに回答者の27%は、新たなコンポジットアプリケーションを開発して、インストール済みアプリケーションの機能を拡張する予定だと答えたという。

 4月12日の時点で、Oracleのホームページには、Project Xは「われわれの広範なアプリケーションポートフォリオを統合し、変わりゆくビジネスニーズとそれを満たすITの能力のギャップを埋めようとする企業を支援するために進めてきた、極めて重要な開発計画である」と書かれていた。OracleはProject Xのメリットについて、ユーザーが積み重ねてきたIT投資の価値を最大化させ、オープンかつスタンダードな既成のアーキテクチャを生かせるようになることだと説明している。

 しかし、Oracleがこれまで獲得してきた多くのユーザーに最も大きな影響を与えるProject Xの利点は、「たび重なるアップグレードを経て、継承された既存の資産を活用し、エンド・ツー・エンドのビジネスプロセスを迅速に生成できる」点だ、とOracleは主張する。

 Gartnerのジェノベーゼ氏も、Oracleの統合フレームワークは注目に値するものだと評価した。「ユーザーは、Oracleが統合フレームワークを用いて作り出すコンポジットアプリケーションに価値を見い出すだろう。特に、すでにIT関連の投資を十分行ってきた開発組織が、同フレームワークに魅力を感じるのではないだろうか」(ジェノベーゼ氏)

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