オラクルが説く「すし屋の大将」のススメ!日本オラクルの製造業向け製品発表(2/3 ページ)

» 2007年04月18日 12時54分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]

永遠の課題「在庫圧縮」

 拡充した内容として、日本オラクル、アプリケーションSC本部、インダストリーソリューションアーキテクト部、ディレクターの尾西克治氏は次のように語る。

 「高精度基準需要予測、在庫配置最適化、サプライネットワーク最適化といった機能を拡充した。戦略・戦術・実行計画の各層と実行、制御まで、グローバルに展開する製造業が必要とするソリューションをオラクルが全て用意できる形になった。オラクルはそんなことまでできるのか、と驚かれることもあるが、当社がお客さまの多様なニーズに応えるべく積み重ねてきた結果と考えいただければいい」

 製造業における業務効率化の最も大きなポイントの1つが「在庫圧縮」。しかし最先端のITを駆使している企業でも、容易に実現しているとは言いがたいのが現状だろう。国内のみで展開している企業でさえ、在庫が減らないと嘆く担当者は多い。これは、需要予測とそれに基づく生産計画の複雑さと曖昧さが原因だ。グローバル企業となれば、その複雑さはさらに拡大し、曖昧さはより深まっていく。

拡充ポイントの肝はどこか

 尾西氏は拡充のポイントとして、最新の最適化テクノロジーとして高精度基準重要予測(Demantra)と安全在庫配置最適化(Inventory Optimization)、そしてサプライネットワーク最適化(Strategic Network Optimizationの3つを挙げた。

日本オラクル、尾西克治氏

 高精度基準重要予測では、ベイズ理論と呼ばれる統計解析の手法で売り上げや出荷の予測をするという。ベイズ理論は200年以上前に確立された理論だが、最近ではスパムフィルタなどにも活用されている。

 オラクルでは、チューニングを自動化し、需要予測の際に過剰なチューニング作業から担当者を解放するために同理論を利用しているという。関数の変更による作業時間を圧縮し、生産計画の予測値の意味づけ、アクションに多くの時間を使うことで、迅速な対応が可能になるというわけだ。

 製造業では所定の在庫にさらに上積みした「安全在庫」と呼ばれるものが存在するケースが多い。これらを最適化することで、低在庫・高サービスレベルへの移行が可能になるというのが、オラクルの主張だ。これまでの製造業分野での実績に基づいた、適正在庫に関するメソッドを用い、最大限のメリットをユーザーに提供するという。

 サプライネットワーク最適化に関して尾西氏は、「膨大なデータを複数のExcelのシートで整理し、それぞれを関連づけ、サプライネットワークの最適化に挑んでいる人が多い。こうした方法では、時間もかかり、誤差が生じることも少なくない。既存システムを統合した状態から得られるデータを基準にしない、こうした取り組みでは、意思決定もたまにしか行われず、計画の見直しもほとんど行われないのが一般的だろう」と話す。

 尾西氏は需要シナリオと事業計画、資産状況、生産能力、調達などを有機的につなぎ、素早い意思決定支援をオラクルのソリューションで提供できる、と話す。統合されたシステムから得られる意思決定のためのデータは、影響を及ぼすすべての制約条件を考慮できるからだ。

 また、今回提供される「有償支給」機能のサポートは、日本企業固有の商慣習に対する手当てである。有償支給とは、材料を支給した上で製造工程を他社に依頼した時に発生する取引上の慣習だ。発注元はその際、依頼企業に対して材料コストを請求する。そして依頼された企業が製品を発注元に納品する際、発注元が製造工賃などに材料コストを上乗せして支払うプロセスである。

 材料コストを外注先に意識してもらうことで製品の歩留まり率を上げる効果があるという、このプロセスに対して、オラクルでは、今回のバージョンより標準機能として搭載した。

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