Sun、ハードとソフトのパッケージでVOD/IPTV分野に進出(2/2 ページ)

» 2007年04月27日 09時30分 公開
[Scott Ferguson, Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK
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優れたストリーミング能力

 Sunではハードウェアの提供に加え、約20種類のビデオストリーミング機能をサポートするソフトウェアを提供する予定だ。これらには、標準/高解像度ビデオのストリーミング、暗号化/クリアコンテンツのストリーミング、パーソナルビデオレコーダー機能、CORBAやXMLなどのオープン標準に対応したソフトウェアなどが含まれる。

 グリリチェス氏によると、オープン標準に加え、16万ストリームをサポートする機能を備えたSunのシステムは、ビデオコンテンツを配信するだけでなく、ユーザーがリクエストして、さまざまなビデオコンテンツプロバイダーから映画を検索するためのI/O機能も提供するという。

 さらに同氏によると、16万ストリームというのは競合ベンダーが提供している配信容量とさほど変わらないが、あと2〜3年もすればストリーム数が60万〜70万に増える見込みだという。

 3台のラックに収容されたシステムの構成例の1つが、2台のSun Fire X4950スイッチ、16台の4U(約180mm)型X4500ストレージサーバ、20台の1U(約44mm)型X4100システムというもの。このシステムは16万ストリームの配信能力に加え、20万時間分のビデオコンテンツを提供できる。

 16万ストリームの配信を可能にするために、Sun Fireスイッチでは32基の10ギガビットイーサネットポートを装備することにより、高密度のスイッチングとルーティングを可能にしている。また、320Gbpsという高いストリーミング密度を実現し、2Tバイトのメモリを搭載する。

 Sunでストレージ製品のマーケティングディレクターを務めるポーラ・パテール氏は、「Sun Fire X4950ストリーミングスイッチでは、10ギガビットイーサネットのオプティカルネットワーキング上に320Gbpsのノンブロッキングクロスバースイッチを装備する。これは非常に堅牢なシステムだ」と説明する。

 「このスイッチは、冗長電源、冗長オプティカルカード、冗長ファン、そして全部で2Tバイトのメモリを搭載する。大量の映画を丸ごとメモリに入れ、メモリからストリーム配信することができる。これは非常に高速な配信を可能にする」とパテール氏は話す。

 ストレージ用のThumperサーバは、1台に付き24Tバイトのストレージを提供し、2Mbpsのビデオコンテンツ(高解像度ビデオでは8Mbps必要)を9400時間分保存することができる。

 Sunでは、同社のVODシステムの価格を1ストリーム当たり50ドル以下に設定する予定だとしている。またパテール氏によると、同社ではVODをホスティング型サービスとして提供することも検討しているが、これに関する正式発表は数カ月先になる見込みだという。

 Sunの新システムは、βテスト用として既に数社の企業に提供されている。ブロードバンドISP(インターネットサービスプロバイダー)向けの映画集約/配信プラットフォームを開発しているAcetraxでは、Sunのシステムを約18カ月間テストしてきた。

 スイスのチューリッヒを本拠とするAcetraxのフランク・ホフマンCTO(最高技術責任者)によると、同社では現在、Sunのシステムを自社独自のバックルームソフトウェア(課金、コンテンツ管理、ネットワーキングの処理を行う)と組み合わせる作業に取り組んでいるという。

 Acetraxでは、ユーザー用のポーズ/再生機能や、広告を作成してビデオコンテンツと一緒に送信する機能などを開発するのにもSunのシステムを利用する考えだ。

 「当社が抱えているもう1つの課題は、ネットワークにストリームを送出した後で、いかにしてその映画を1時間半持続させ、ユーザーに上質な体験を提供するかということだ」とホフマン氏は話す。

 Sunでは、Streaming Systemのビデオストリーミング能力を示すために、4月25日にニューヨーク市で開幕した「Tribeca Film Festival」において、同社の新ハードウェアシステムのデモを行う予定だ。

 「これはビデオオンデマンドのための完璧なパッケージだ。業務用ストレージ、ストリーミングソフトウェア、スイッチング機能のすべてが1つに統合されているからだ。IPTVの未来がまさにここにある」(ベクトルシャイム氏)

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