ITプロジェクトを失敗させないための7つのガイドラインマネジャーの教科書(2/3 ページ)

» 2007年04月27日 13時41分 公開
[Ken-Myers、Indira-Guzman,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

ITプロジェクトとは、いずれも社会技術システム(STS:Socio-Technical System)プロジェクトの1種であるととらえるべし:技術的裏付けのある合理的な決定を下すだけでは、プロジェクトの成功方程式の半分を埋めることにしかならない。どのようなITプロジェクトであれ、それがさまざまな人間が関与するものである以上、人間集団としての組織環境を理解しておかないとほかの人々からの反発を招く危険性が高くなる。

対策:

  • 多くのマネジメント履修プログラムにて現在、IT活動をテーマとしたSTS分析に関する講習が行われているので、それを活用する。STSについては有用な行動原理が多く述べられているが、その基本原則を簡単に要約すると、新たなITプロジェクトを立ち上げる際には、誰の既得権益を犯すことになるか、誰の業務プロセスに変更を強いることになるかを事前に把握しておけ、ということになる
  • 自分が手掛けるITプロジェクトによって影響を受けるであろう組織内のグループについては、プロジェクトの立案および実施の段階を通じて、それらの代表者をあますことなくプロジェクトに関係させるようにし、そうした人物からの情報収集を欠かさないようにする必要がある
  • 自分が属する組織の特性を把握しておく。集積基板に組み込まれた電子回路と同様、人間の組織もその構成要素が複雑に絡み合ったシステムである。そうしたシステムでは例えごく一部といえども、業務に関係するテクノロジーやプロセスの変更を強制すると、目に見えない場所で想定外の結果をいろいろと呼び込む危険性がある(例えば、影響力の大きい人物の領分にプロジェクトが足を踏み入れてしまうなど)

ソリューションの固定化は忌避するべし:組織におけるITニーズとはおうおうにして非常に込み入った内容となるものであり、現実に即した慎重な分析を必要とする(現実こそが、かえって把握しにくいことがある)。その際には、複数の選択肢を用意した上で、理にかなった検討を加えなければならない。たいていの場合、唯一絶対の正しいソリューションなど存在しないにもかかわらず、組織の上層部、エンドユーザー、外部の業者など、それぞれの立場ごとに、彼らにとっての正しいソリューションを提示してくるものである。そのため最初から1つのソリューションに固執することは、組織のリソースを無駄に費やす危険性が高く、本来解決すべきIT的な問題をかえって悪化させかねない。

対策:

  • 各部門におけるIT関連の問題や現場のニーズに精通している人物に対して、個別的に意見を聞くようにする。こうして収集した情報をたたき台として、プロジェクトで扱う問題やソリューションに関係するであろうすべてのグループから代表者を募り、グループミーティングを開催する。そして複数用意しておいた選択肢それぞれのメリットとデメリットを評価し、想定される結果はもとより、想定外に生じるであろう影響を可能な限り把握しておくように努める
  • IT関連の問題や特定のソリューションに(発生源ないし抑止力として)関係してくる、組織内部の政治力学を把握する。IT関連の問題を解決するプロセスをどのように展開するかの決定および、そうしたプロセスをITマネジャーが制御して好ましい結果を導けるか否かには、こうした情報が大きなウェイトを占めてくる
  • 情報の収集、人間集団に対する問題分析、ソリューションの構築、優先順位の決定に長けた人材が組織内にいれば、その助力を請う

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