ITプロジェクトのデザインについてはあいまい性を許容するべし: ITプロジェクトを進める場合、あいまい性は不可避の要素であり、また必要な要件でもある。プロジェクトを複雑にしているのは技術的な要素だけではなく、それと平行する形で組織的な要素も関与してくるものであり(要求に関する競合、従来の慣行への固執、政治的な力学など)、プロジェクト立案時にはそれらをすべて考慮しなければならない。こうした複雑な問題に対して単純で固定化されたソリューションを押し付けても、それはプロジェクトを成功させる上での最適な処方箋とは成りえない。
ITプロジェクトには、さまざまな反論や好ましいとされる結果が提示され、関係者の利害関係が入り交じるものであるが、これらは必ずしも相容れない要件ではない。そのためには、定期的に関係者との間で連絡を取り合い、プロジェクトのデザインや実施段階に発生する問題を解決していく必要がある
まずはプロジェクトデザインにとってコアとなる要素だけを把握しておく。そしてプロジェクトが進行するに従い、必要不可欠な要件のみを徐々に追加するようにしていく
先に触れたソリューションの固定化を防止する観点から、プロジェクトを立ち上げた段階では、そのほかのデザイン的な選択肢も検討するようにする。その際には“理想的”ではあるが時期尚早のソリューションに手を出したり、現在の組織に内在する制約を不可避なものとして頭から妥協することは避けなければならない
利害関係者との緊密なコミュニケーションを図るべし: すべてのプロジェクト関係者に対してさまざまな側面から意思疎通を図るのは、最低限のノルマである。
コミュニケーションの手段は、直接の会見でもオンラインや手書きの文章でも構わない。利害関係者と定期的な連絡を保つことで、プロジェクト管理をポジティブに進めていることを理解してもらう
ITプロジェクトとは足で歩いて管理するものである。例え長期間不在にする要件が生じた場合でも、個人的なコミュニケーションレベルでいいので、主立ったプロジェクト関係者とはある程度の情報交換を維持する必要がある。信頼関係とはこうした個人的なつきあいによって形成されるものであって、そうした努力が有益なフィードバックを得たり、プロジェクトに対する継続的なサポートを得ることに帰結するようになる
プロジェクトの利害関係者からは後記に挙げる3種類のフィードバックを得る必要があり、そのための正規のプロセスを設けておく。1つ、プロジェクトの進捗に対する検討会を定期的に開催するようスケジュールを組むこと。1つ、見落としていた課題や新たに生起した問題が確認された場合は、直ちにプロジェクト関係者による“忌憚のない”批評を求めること。1つ、プロジェクトの全プロセスを見直して教訓を引き出せるよう、総括用の反省会をプロジェクト終了時に予定しておくこと
プロジェクトの支援者や擁護者となりえる人物を抑えておくべし: 関係する部門をまとめる立場にある人物を特定し、プロジェクトの支援者となってもらうことが、ITプロジェクトの成功方程式を構成する重要な項目の1つとなる場合がある。
自分のまとめるIS/ITグループの外部に、プロジェクトの擁護者となりうる人間との人脈を構築する。たいていのプロジェクトではITマネジャーないしその上司が最大の発言力を持っているものだが、規模が大きかったり複数の部門が関係するプロジェクトの場合は、IS/IT部門の外部で要職にある人物がプロジェクトの成否にかかわる影響力を握っていることがある
擁護者となりうる人物は、慎重に検討した上で選び出す。組織での人物評が優れていることはもとより、プロジェクトの影響を受けるであろう各部門のトップと釣り合うだけの役職にあり、プロジェクト全体を見渡せる位置に置かれている人物が理想的である
組織内における人間関係の育成には時間が掛かることを心得ておく。ITマネジャーとして職責をスムースにこなしたければ、その後ろ盾を得るべき組織内の主要人物について事前に目星をつけておき、あらかじめ人脈を形成しておくことである。そのためには机にしがみついていてはダメで、肝要なのは、有益な対人関係を築けるよう常々心がけておくことだといえる
これから自分が率いるITプロジェクトの成功が、想定外の人的要因によって妨げられたくなければ、これらの7分野のガイドラインとその対策を心得ておかなければならない。
Ken Myersは組織行動論の博士号を所有し、米海軍およびノースウエスト航空にて組織運営のキャリアを積み重ねた後、Minnesota Technical College Systemの副学長を経て、現在はオンライン大学Touro University Internationalにて経営情報学のCore Professorを務める。Indira Guzmanは情報学技術の博士号を所有し、Touro University Internationalにて情報システムのResident Assistant Professorを務める。
プロセスはITプロジェクトにとって最善の策とは限らない
ITプロジェクトの成功には、優良で、繰り返し行うのに適していて、確固とした「プロセス」が必要不可欠だ。しかし一方で、プロセス自体がむしろ思わぬ落とし穴となっている場合もある。以下では、プロセスを敵ではなく味方につけるための定番で実用的なアイデアを紹介する。
人材募集:コントラリアン求む人材募集:コントラリアン求む
IT部門の能力アップに関心を持つCEO諸氏、ITコントラリアンなる新たな職位を設けたらいかがだろうか。大方の会社では耳慣れぬコンセプトだろうから、この職位を提案する論拠とともにその仕事に求められる責任の範囲、役割、技能を検討してみよう。
IT企業における付加価値を持つリーダーシップ能力の育成法
あなたの周囲を見回せば、リーダーに求められる資質を常に発揮し続け、かかわるすべての活動に付加価値を与えているという人材が、多数存在しているはずだ。彼らに共通する4つの点におけるリーダーシップを開陳しよう。
IT転職を減らす方策
IT業界の社員の定着問題を理解している会社はほとんどないようだ。高い転職率は生き方の問題だと見る向きも少なくないがそれは違う。問題の本当の原因を知り、適切な対策を講じれば転職は回避できる。
ITプロフェッショナルの採用方法を再考する
有能なITプロフェッショナルを確保できないと、その企業は教競争力の低下を招くことになる。ここでは、ITプロフェッショナルの採用に関するよくある過ちと、本来あるべき姿について再考する。
Copyright © 2010 OSDN Corporation, All Rights Reserved.