Red Hatが勝負をかける新たなデスクトップ戦略とは(1/2 ページ)

Red Hatはより広範なユーザー層の獲得に向けて、新たなデスクトップ戦略を打ち出している。5月9日に発表された新しいクライアント製品「Red Hat Global Desktop」は、その戦略が具体化されたものの1つである。

» 2007年05月10日 17時47分 公開
[Per Galli,eWEEK]
eWEEK

 Red Hatは5月9日にサンディエゴで開催された同社の年次サミットにおいて、開発中の新しいクライアント製品「Red Hat Global Desktop」を発表した。

 Global Desktopは、現代的なユーザーエクスペリエンス(環境)とエンタープライズクラスのプロダクティビティアプリケーションスイートを提供することを目指し、Intelと共同で開発された。Intelは設計、サポート、流通の各面で協力する。

 Red Hatのブライアン・スティーブンスCTO(最高技術責任者)は、「われわれはGlobal Desktopの優れたパフォーマンスと低いハードウェア要求というメリットを生かし、Intelの現在および将来のプラットフォームをサポートするつもりだ。これらのプラットフォームには、Classmate、Affordable、Community、Low-CostといったPCシリーズが含まれる」と話す。

 Red Hatが最近、米eWEEKに語ったところによると、同社はパッケージ型Linuxデスクトップを計画中であり、これにより同社の現在のクライアントソリューションと比べてはるかに広範なユーザーに自社のデスクトップを売り込む方針だという。

 Red Hatの技術担当執行副社長、ポール・コーミア氏は、eWEEKの独占取材の中で、この計画に関して次のように語っている。

 「新たなデスクトップ戦略を数カ月中に発表するつもりだ。この戦略を推進するに当たっては、従来とは大きく異なる市場の視点からデスクトップ分野を真剣に見直す。われわれが投入しようとしているのは、SMB(中堅・中小企業)市場や新興市場などをターゲットとした総合的な製品だ」。

 Red Hatの動きは、Novellの「SUSE Linux Enterprise 10」プラットフォームとの競争も視野に入れたものだ。同プラットフォームに含まれる「SUSE Linux Enterprise Server」と「SUSE Linux Enterprise Desktop」は、いずれも2006年7月にリリースされた。

 「われわれにとって、伝統的なデスクトップのメタファは死んだ。それは恐竜なのだ」とスティーブンス氏は5月9日、サミットの開幕キーノートスピーチで語った。「われわれは、Windowsパラダイムの再現はユーザーの生産性の向上に役立たないと考えている。新しいモデルはユーザーに主眼を置き、ドキュメントやアプリケーションを基盤にするだけでなく、ユーザーのアクティビティが中心にならなければならない」。

 Intelのワールドワイドリセラーチャネル組織を担当するゼネラルマネジャー、スティーブン・ダルマン氏によると、同社のリセラーチャネルがビジネス価値を拡大するために利用できる費用効果に優れた事前認定済みソリューションを提供するために、Red Hatと協業してきたという。

 「Intelプロセッサを搭載したPC上でRed Hat Global Desktopを動作させることにより、地域市場、教育、小規模企業、政府機関などの分野のユーザーに広範なアプリケーションへのアクセスとリッチなエクスペリエンスを提供することができる」とダルマン氏は話す。

 スティーブンス氏によると、Global Desktopは将来を特徴付けるクライアントパラダイムであり、ドキュメント管理とともにコミュニティーとコラボレーションをあらゆる段階においてド可能にするという。

 Global Desktopには、Red Hatが昨年発表したオープンソースのネットワーキングサービス「Mugshot」などの技術も組み込まれる、と同氏は説明する。同社は、ユビキタスなオンラインサービスが提供され、情報が仮想環境の中でホストされる次世代のデスクトップユーザーエクスペリエンスの開発を目指した投資も続けているという。

 「クライアントコンピューティングのユーザーエクスペリエンスがオンライン化、グローバル化、パーベイシブ(普遍)化し、広範な新デバイスに対応するような世界を、Global Desktopはサポートする」と同氏は話す。

 さらにスティーブンス氏は、ノートPC用のユーザーインタフェースとOSのデザインと開発に向けたRed HatとOne Laptop Per Child基金との提携は、既に発展途上国の子どもたちに配布されているハードウェアの早期実現につながったと話す。

 ユーザー、要求そして技術がこの数年で劇的に変化したため、従来の汎用型デスクトップというパラダイムはもはや通用しなくなったという。

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