Red Hatが勝負をかける新たなデスクトップ戦略とは(2/2 ページ)

» 2007年05月10日 17時47分 公開
[Per Galli,eWEEK]
eWEEK
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Red HatとMicrosoftの関係

 「企業顧客は依然として、ナレッジワーカーのためのデスクトップセキュリティと管理性を要求している。コンシューマーは、新しいオンラインサービスやアプリケーションを急速に受け入れている。そして発展途上国は、従来型のデスクトップを必要としない低価格の情報技術を求めている」とスティーブンス氏は話す。

 企業向けのデスクトップ製品については、「Red Hat Enterprise Linux Desktop 5」を3月にリリースしたとスティーブンス氏は指摘した。

 しかしRed Hatでは将来的に、「金融サービス、ヘルスケア、政府機関などの環境のニーズに応えるべく、重要なデータのプライバシーを保護するための新モデルを発表する予定だ」と同氏は話す。

 さらにスティーブンス氏はサミットの来場者を前に、「RHEL 5のユーザーがその仮想環境内でWindowsを動作させていることを知って、われわれは大いに驚いた」と語った。このためRed Hatでは、ストレージドライバとネットワークドライバの最適化と準仮想化の作業に取り組んでおり、これによりRHEL 5上でWindowsを運用するユーザーにネイティブ並みのパフォーマンスを提供するつもりだ、と同氏は話す。これらのドライバは今年中に提供される予定だという。

 「既成勢力は世の中が変化すれば多くのものを失うが、変化しなければ人々が多くのものを失う。x86ベースのLinuxのパフォーマンスとコストは、市場に出回っているどのシステムをも上回り、その差は広がる一方だ」とスティーブンス氏は話す。

 Red Hatのマシュー・ズーリックCEO兼社長兼会長も開幕キーノートスピーチの演壇に立ち、「オープンソースコミュニティーは長い間、競争力のあるLinuxデスクトップという理想を追求してきた」と述べた。

 しかし、クライアントのメタファは変化しようとしており、現在の既成勢力の付属物になろうとする「選択肢はもはや存在しない」という。「それをやろうとした企業の多くはもう存在しない。それが当社の顧客が求めていたパラダイムであったとしたら、われわれは5年前にCorelを買収していただろう」とズーリック氏は話す。

 ズーリック氏によると、モバイルデバイス分野への進出という問題に関連して、Red Hatはこれまでずっとクライアントに関心を持っていたという。「Red Hatにとって、この取り組みは、デバイスの管理や次世代アプリケーションを中心とするエコシステムの構築などを含む広範なコラボレーティブ開発運動の一部である」と同氏は話す。

 クライアント戦略に関してズーリック氏は、その活用法、金銭化、市場ニーズへの対応という要素の間でバランスを図ることが重要であり、これは単にプレゼンテーションレベルの問題ではなくなりつつあると指摘した。

 「われわれが話を聞いた企業は、将来のデスクトップが今日存在するものと同じであるとは考えていない」と同氏は話す。

 「クールでクリエイティブかつ斬新な物理的フォームファクターを備え、そしてオープンソースの技術とオープンな標準をベースとする必要がある」とズーリック氏は語る。「オープンソースは今日、eVoting構想などとともに社会的パラダイムの一部になり始めており、オープンソースがなかったらITはどうなっていただろうかと思うことも多い」と同氏は付け加える。

 キーノートスピーチの後で行われた記者会見でズーリック氏は、Red HatとMicrosoftとの関係、ならびに相互運用性をめぐるMicrosoftとの話し合いの状況について質問を受けた。

 「ベンダーニュートラルなオープンな標準に関して彼らと協力したいと考えているが、この問題については一切妥協するつもりはない」とズーリック氏は答えた。

 「人々は皆、相互運用性を求めており、Windowsが初めてリリースされて以来、何年もたった今でもそれが問題になっている。相互運用性は非常に大切であり、われわれはそれにコミットしている。今後もこの問題に関してMicrosoftやIBMなどと協力するつもりだ」(同氏)

 ズーリック氏によると、将来の基盤はサービスであり、Red Hatも今後、サービス分野にフォーカスするという。「Red Hat Exchangeも、当社のオープンソースサービスを拡大する機会をコミュニティーに提供するものだ」と同氏は付け加えた。

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