DellのUbuntuプリインストールPCは価格やサポートなどの詳細はまだ分からないが、同社にとってもLinuxコミュニティーにとってもチャンスになるだろう。
Ubuntu 7.04をプリインストールしたデスクトップ・ノートPCの提供に向けたDellの小さな一歩は、デスクトップLinuxの発展にとっては大きな飛躍かもしれない。
DellがLinuxをプリインストールすることで、自分でOSをインストールしないコンピュータ購入者に、Windowsを選ぶのと同じ方法――システムを購入して箱から出し、使い始める――でLinuxを選ぶ機会が与えられることになる。DellシステムにUbuntuが載るということは、ベテランLinuxユーザーが、自分の好きなOSに対応していると知った上でハードを購入できるということだ――たとえ購入者がほかのLinuxディストリビューションを好んでいても、あるLinuxディストリビューションに対応するハードは、どのディストリビューションでも動作できる。
数週間前に述べたように、UbuntuはメインストリームのデスクトップLinuxの選択肢として最も理にかなっている。Ubuntuは洗練されていて人気があり、Dellなどのメーカーがこれまで提供してきたRed Hat Enterprise LinuxやSUSE Linux Enterpriseとは違って毎年のアップデート料金もかからない。「フリー」はLinuxの魅力の大きな部分を占めているが、WindowsのアクティベーションとGenuine Advantageソフトを捨て、Red Hat Enterpriseのライセンスを買ってインストールしても、あまりフリーな感じはしない。
しかし、マイケル・デル氏とUbuntuのマーク・シャトルワースCEOが「Grand Marshal the 2007: Year of Desktop Linux」パレードで乗るキャデラックを借りに行く前に、答えを出すべき疑問がたくさんある。詳細が明らかになるまでは、Dellの意見募集サイトIdeastormに山のようなコメントを書き込んだ多数のLinuxファンのどのくらいが、マウスのクリックだけでなくお金も気前よく出してくれるかを測るのは難しい。特にDellのUbuntuシステムについては、価格やDellがUbuntuに対応させる予定のハードの品揃えなどの重要情報を含めてほとんど分からない。
価格はかなり注目されるだろう。購入者がフリーの代替OSを走らせるかどうかにかかわらず、すべてのPCに『Windows税』が付くという考えは、Dellがこの計画で狙っているデスクトップLinuxファンの心に強く根付いている。だがUbuntuのフリーさが、(Windowsマシンより)PC価格を安くするかどうかは分からない。Microsoftがライセンス料を値引きするとか、ティーザーソフト搭載PCを仕入れると現金が払われる、つまりWindowsプリインストールで採算が取れるとかさまざまな憶測が流れている。
Dellにとって、新しいプラットフォームとして、Ubuntuはサポートにより多くの費用がかかるという主張もある。だがわたしたちがこれまで耳にしたところから考えると、Dellはハードのサポートのみを提供し、ソフトのサポートはコミュニティーか、Canonicalという企業とのオプション有料サポート契約か、別のサポートベンダーに任せるだろう。Dellが新たなプラットフォームに対応する際にかかるコストはほかにもあるが、Dell Ubuntuマシンのサポートがオプションなら、低価格に対する顧客の期待は高まるだろう。
DellのUbuntuシステムの成功は、公正に見える価格に加え、DellがLinuxと一緒に魅力的なハードを提供するかどうかにかかっている。Linux Watchを執筆する同僚のスティーブン・J・ボーン−ニコルズは、検討中のこのLinuxシステムはDellの低価格マシンの部類に入ると伝えている。Ubuntuをラインアップのローエンドに隔離すれば、潜在売り上げを減らすことになる。Dellの各種システムでUbuntuを提供する方がもっといいだろう。
Dellは今のところ大胆に動いている――Ideastormサイト立ち上げからUbuntu搭載発表までの期間はわたしが想像していたよりもずっと短かった。Dellが決断力を持って進み続け、うまく実行すれば、新しい市場を開拓し、競合PCメーカーとの十分な差別化を主張するチャンスを得る。Linuxコミュニティーにとっても、自分の財布で「投票」し、フリーからもうけが出るということをDellだけではなくISV(独立系ソフトベンダー)・IHV(独立系ハードベンダー)コミュニティー全体に示す機会となる。
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