内線電話、今こそモバイル化へのススメモバイル Ready!なコミュニケーション活用術(2/2 ページ)

» 2007年05月14日 07時30分 公開
[ITmedia]
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通話+αの実現

 VoIP内線電話システムが普及する理由に1つにオープンソースのIP-PBXソフト「Asterisk」の活用があると言われる。VoIP規格は提供ベンダーの独自仕様のものが多く、マルチベンダー環境では異なる機器同士を接続しづらいという課題が指摘されてきた。

 Asteriskは、内線電話システムに求められる内線/外線の切り替え制御や保留/転送/話中などの制御、自動応答処理などの機能を持つ。ここ数年では、Asteriskをベースとした企業向けのVoIPシステムが大小多くのベンダーから提供されるようになったことで、導入企業の選択肢が豊富になり、内線電話システムのVoIP化が進む。

 オープンソースという優れた開発環境を母体としていることで、Asteriskでは通話機能のみならず、ボイスメッセージやグループウェアなど、さまざまな社内システムと連携できる豊富な拡張性も大きな特徴となっている。Asteriskの創始者マーク・スペンサー氏は、通話制御機能の開発だけでなく電話会議機能の基本開発も行ったが、電話会議へ参加する際の認証や品質向上のための開発などは、Asterisk開発コミュニティに参加する有志の手で行われた。

 こうしたAsteriskの拡張性を利用してモバイル対応を特長としているのが、NTTソフトウェアがSMB(中堅・中小企業)市場向け展開するの「ProgOffice」だ。ProgOfficeでは、Asteriskベースの商用版ソフト「Asterisk Business Edition」をプラットフォームに採用し、Asterisk Business EditionのSIP拡張機能に独自のSIP-WIRELESS制御機能を実装している。

 これにより、モバイル内線電話機能が利用できるようになり、携帯電話機から内線機能や外線発信操作、また無線ネットワーク圏外での対応(携帯電話網への切り替えなど)が行えるようになった。また、同社独自でも、不安定な無線ネットワーク環境で円滑な通話接続性を確保する手段が取られている。

 例えばユーザーの多いアクセスポイントのエリア内で外線を受け取る場合、通話中のユーザーが多いために輻輳状態となってつながりにくくなる。受信者は通話可能な状態でも、電話をかけた側にはシステムから「話中」の応答がされ、受信者に接続されない。

 ProgOfficeでは、このような状態を回避するためにロードバランスを取り、周辺の空いている他のアクセスポイントから受信者へ自動接続することで通信経路を確保するという。仮に周辺のアクセスポイントがすべて輻輳状態となっても、携帯電話網などに迂回させて通信経路を確実に確保するという。

 通信会社などが提供する内線電話システムでは通話機能に特化したものが多いが、同社の生駒勝幸ユビキタスオフィス技術プロデューサによれば、今後はAsteriskのほかの拡張性も利用し、モバイル端末からグループウェアやメール、インスタントメッセンジャーなどの機能も利用できるシステムに発展させていくという。

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