サイバードHDはグループ各社のサービス会員を顧客プラットフォームに位置付けモバイルの収益基盤を強化する。
サイバードホールディングス(HD)は5月23日、2007年3月期の通期連結業績ならびに2008年3月期の事業計画について説明を行った。通販会社JIMOSとの経営統合に伴うコマース事業の伸張に加え、コンテンツ事業や広告事業も増収となった。08年3月期はこれら3事業の安定拡大を図る。
07年3月期の事業セグメント別売上高は、主力のコンテンツ事業が120億4700万円(前年同期比115.5%)、コマース事業が61億9100万円(同2440.2%)、広告事業が2億5600万円(同381.3%)、海外事業が21億7600万円(同245.9%)となった。一方、ソリューション事業は27億5000万円(同89.5%)で減収となる。07年3月から計上を始めた投資事業は1億4800万円となった。
コンテンツ事業は、2006年12月15日〜2007年1月15日の会員純増数が過去最高の65万人を記録し、2001年夏の実績を上回る成長となった。また、コマース事業は2006年10月のJIMOSとの経営統合によってJIOSの通販事業がコマース事業に統合された。また、アウトレット商品販売のアウトレットプラザの業績もコマース事業の連結対象に加わった。
この結果、連結業績は売上高235億7100万円(同156.2%)、営業利益7億8600万円(前期は2億4700万円の損失)、当期純損失78億3000万円(同1億4300万円の損失)となった。大幅減益の要因は、JIMOSの「のれん代」について70億円の年間償却を実施したことによるもので、08年3月期は年間償却額がほぼ解消されるとしている。
08年3月期の事業計画は、同社グループが抱える約1000万人の顧客層をグループ収益基盤として確立させるのが目標で、他社と共同展開するメディアの強化やユーザーサービスの導入を推進する。
堀主知ロバート代表取締役社長兼グループCEOは、「新規会員獲得と既存会員の定着化によって、グループの顧客資産となる『サイバードプラットフォーム』にしたい」と述べ、「コンテンツ」「コマース」「広告」の各事業が機能するグループの成長戦略を描く。
ヤマダ電機やニッセン、日本テレビなど各社とそれぞれに共同展開するメディアサービスは、新規会員獲得の原動力として期待する。これらのメディア向けに、動画広告(関連記事)や携帯電話のFeliCa機能を利用した集客サービスを提供する計画で、集客方法を広げることで、グループの顧客資産に取り込んでいく。
同時に既存会員の定着化を図るべく、「Key Service」を呼ばれるユーザーサービスを、メディアサービスやモバイルコンテンツに導入する。第1弾として、ムーターと共同でモバイルサイト向けの検索サービスを7月から本格展開する。また、ブログSNSやフリーメールなどのサービスも順次導入するという。コンテンツやメディアの利便性を高めることで、同時に利用頻度を高める狙いもある。
こうした事業展開により、コンテンツ収入や通販を中心としたコマース収入の成長を促進させるとともに、広告事業を将来の事業基盤の1つしたい考えだ。現在の広告配信規模はメールマガジン会員の約300万人だが、「将来的に当社グループのサービスを利用する1000万人全体に広告配信対象を広げたい」(堀CEO)としている。
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