シトリックス、「10分で導入できる」WAN高速化製品を国内投入へ

シトリックスは、同社初のWAN高速化専用装置となる「WANScaler」を7月に国内で販売すると発表した。

» 2007年06月06日 16時12分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 シトリックス・システムズ・ジャパンは6月6日、アプライアンス型のWAN高速化装置「WANScaler」を発表した。同社はデータセンター向けの負荷分散装置「NetScaler」に続き、WANScalerを企業の小〜中規模拠点間のアプリケーション通信の高速化を図る製品として、7月より国内での販売を開始する。

画像 2つのアプリケーション配信ソリューション、「WANScaler」(左側)と「NetScaler」

 WANScalerは、2006年に買収した米Orbital Dataの製品がベースになっている。同様にアプリケーション配信を最適化するNetScalerがアプリケーションスイッチ機能を中心に圧縮・キャッシュなどのWebアクセス高速化機能を加えた製品であるのに対し、Windowsファイル共有プロトコル、CIFS(Common Internet File System)の高速化を主としたWAFS(Wide Area File Service)製品という位置付けになる。

画像 「いくらおいしい食べ物(リッチアプリケーション)でも遠くて手が届かないのでは意味がない」と大古俊輔代表取締役

 WANScalerは、本社と営業拠点などの間に対向で設置し、WAFS、TCP最適化といったWAN環境でのアプリケーションのパフォーマンスを改善する点では既存のWAN高速化製品と同様のソリューションだが、導入がしやすい工夫が施されている。

 既存製品は高速化時にWANの帯域を圧迫するプロトコルを流さないようにいわゆるトンネリング処理を行うが、装置間以外はデータの中身が見えなくなるためファイアウォールの設定を変更しなければならない場合がある。WANScalerではトンネリングを行わず、辞書機能による差分情報の交換を行うことでWAN上を流れるデータ量を減らすため、導入時の既存の環境の変更が最小限になる。また、自動設定機能や対向にあるWANScalerの自動検知機能により、導入から最適化機能が有効になるまでの時間が10分程度で済むという。

 シトリックスは、WANScalerの高速化機能の効果として「アプリケーションのレスポンス時間が最大4倍、スループットが最大200倍まで改善される」としている。

 製品のラインアップは、小規模拠点用の「8300」シリーズ、中〜大規模拠点用の「8500」シリーズ、データセンター用の「8800シリーズ」があり、1対1の拠点間接続用の「6500/6800」シリーズが第3四半期以降に投入される。8000シリーズの価格は85万円(税抜き)からで、7月2日より販売開始する。

 併せて、モバイルPC向けの高速化ソリューションの提供も準備中で、Windows 2000/XP対応のクライアント製品が第3四半期に出荷される予定。

 シトリックスは同時に、NetScalerのバージョンアップも行った。新バージョンの「8.0」では、ポリシーエンジンAppExpertを強化、GUIによるポリシー設定ができるようになったほか、OSに最大1.8Gbpsのスループットを持つアプリケーションファイアウォール機能を新たに実装した。これにより、HTTPのヘッダ部分だけではなく、コンテントとなるボディ(ペイロード)部分も制御可能になっている。

 また、Webクライアント側にJyavaアプレットを導入することで、CPU、メモリなどの情報を収集してレスポンス時間や遅延の割合をリアルタイム表示するモニタ機能、SSL VPN機能などを統合した。

 NetScaler 8.0はサイト規模の違いにより、Standard、Enterprise、Platinumの3種類のエディション、4種類のアプライアンスが用意される。保守契約を結ぶユーザーは無償で新バージョンにアップグレードできるが、アプリケーションファイアウォールやクライアントモニタ機能はオプションとして提供され、利用にはライセンス料が発生する。価格はStandardエディションで306万2300円(税抜き)。WANScalerと同様、7月2日からの販売開始となる。

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