IBM、3500万ドルの次世代スパコン「Roadrunner」に課せられた目的(1/2 ページ)

間もなくIBMから登場予定のスーパーコンピュータは、アニメキャラクターと大型スポーツカーにあやかり「Roadrunner」と名付けられた。ストレージには高パフォーマンスを誇るDirectFlowを採用している。

» 2007年07月04日 16時23分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 現在、米IBMがニューメキシコ州ロスアラモスにある米国エネルギー省「Los Alamos National Laboratory」に納めるため製造中の「Roadrunner」は、1秒当たりの浮動小数点演算回数が1000兆回(1ペタフロップ)という、未曾有の性能を誇るマシンになる予定だ(関連記事)

 これがどれほどのパフォーマンスかがピンと来ない読者も多いと思うが、そのすさまじい処理能力は確実に請け合える。

 エネルギー省は、米国の備蓄核兵器を安全・確実に保持し、地下核実験が再開されることのないよう核兵器保全管理計画を進めている。Roadrunnerは、そのような目的の研究に大きく貢献する次世代スーパーコンピュータだ。

 Roadrunnerは、業務用に販売されているハードウェアのみを使って作られており、オペレーティングシステムにはRed Hatの「RHEL(Red Hat Enterprise Linux) 4.3」を採用している。具体的には、AMDの「Opteron」プロセッサを搭載したIBMの「System x3755」システムと、新しい強力な「Cell」チップを積んだ「BladeCenter H」システムが併用されるという。Cellチップは、もともとは高性能なビデオゲーム用に開発されたものだ。Roadrunnerは、極限レベルのコンピュータ処理にハイブリッドアーキテクチャが使用される、新たなコンピューティング時代を拓くとして、大いに期待されている。

 Roadrunnerが完成したあかつきには、世界最速のコンピュータになるといっても過言ではない。

 もっとも、プロセッサがより高速になり、アーキテクチャおよびI/Oは効率性を増し、ソフトウェアの性能も向上したとはいえ、重大な問題も残っている。消防ホースをいっぱいに流れるほどの計算データストリームを、システムが処理できるようになるのはよいが、それだけのデータ読み書きを行うためには、どれほど大容量なストレージを構築すればよいのだろうか。これまでもストレージのI/Oは、スーパーコンピューティングにとって最大かつ最悪のボトルネックとなってきたのである。

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