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» 2007年07月04日 16時23分 公開

IBM、3500万ドルの次世代スパコン「Roadrunner」に課せられた目的 (2/2)

[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK
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 だがこれからは、そうした問題に頭を悩ませなくてよさそうだ。Roadrunner開発チームは、8年前に設立され、今では125名の社員を抱えるカリフォルニア州フレモントのPanasasと協力し、同社の「ActiveScale 3.0 Storage Cluster」を新たなペタ規模スーパーコンピュータのストレージシステムに採用して、積年の課題を解決しようとしている。

 Roadrunnerは、Linuxと「DirectFlow」機能を備えるPanasas Storage Clusterを活用し、きわめて複雑な科学演算を実行していくことになる。DirectFlowは、「PNFS(Parallel Network File System)」と呼ばれる完全並列型のデータパスを実現し、RoadrunnerチームのLinuxクラスタとPanasasストレージクラスタノード間における、高速かつ直接的な通信を可能にする機能だ。

 従来のストレージシステムは、1つの双方向ヘッドコントローラを使って、直接的なデータ転送を行っていた。Panasasの創設者で、RAIDストレージの生みの親として世界的に知られるガース・ギブソン氏は、PNFSを実装しているのは唯一Panasasだけだと、当初から喧伝してきた。PNFSは、2つの双方向ヘッドコントローラを持っている。これはすなわち、初めから走っていた2車線の高速道路の隣に、さらにもう1つ同じものを増設したようなものだ。

 The 451 Groupのアナリストであるヘンリー・バルタザール氏はeWEEKに対し、「PNFSはデータパスからのメタデータアクセスを隔離し、クライアントがNAS(Network-Attached Storage)に直接的かつ並列的にアクセスできるようにする。

 標準的なSAN(Storage Area Network)もしくはNASストレージでは、特に高パフォーマンスコンピューティング(High-Performance Computing:HPC)などのパフォーマンスを重視する環境下で、ヘッドコントローラがボトルネックと化してしまう。クラスタ化ストレージシステムの主なメリットは、データロードを複数のシステムに振り分け、高速データアクセスを維持できる点である」と語った。

 一方、Enterprise Management Associatesでアナリストを務めるマイク・カープ氏も、「新たなRoadrunnerエコシステムの最重要要素」はまさにこの並列ファイルシステムだと、eWEEKに話している。

 「ロスアラモスの研究所が扱っているようなタイプの計算は、並列コンピューティングプロセスを必要とする複雑なレベルで処理されている。これはつまり、さまざまなCPUへデータをいっせいに送り、遅延率はごく低く、I/O率はごく高く保って、計算が同時に――すなわち並列的に――行われるよう図らねばならないことを意味している」(カープ氏)

 Panasasのギブソン氏はeWEEKに、「信頼性と整合性」は同社のストレージシステムの2大特性だと述べた。

 「例えば、ディスク障害の修復中にディスク読み込みエラーが発生したり、たまたまネットワークエラーが起こったりといったタイミングの悪いときでも、Panasasのシステムなら、ほんの一部のデータが利用不能になったからといって、数テラバイトの情報すべてを投げ出すようなことはない。こうした場合、Panasasのシステムは、問題のあるデータを含むファイルを自動的に囲い込み、残りの数テラバイトのデータに対するアプリケーションおよびユーザーのアクセスを確保する」(ギブソン氏)

 この並列ファイルシステム構造は、いずれ企業コンピューティングにも取り入れられるのだろうか。

 Evaluator Groupのアナリスト、トム・トレイナー氏は、eWEEKに次のように説明した。「Panasasは今でも、超ハイエンドスーパーコンピューティング環境における、並列I/O処理の高速化を推し進めている。こうした取り組みはある種ニッチな分野に属するもので、大半のストレージベンダーは、利益性の高い重要な事業とはとらえていない。だが実は、これこそがEMCやIBMといった企業がビジネスチャンスを逸している分野なのだ」(トレイナー氏)

 また同氏は、PanasasやBlueArcなどは、スーパーコンピューティング向けの技術が企業コンピューティング分野へ徐々に波及し始めていることを、すでに意識していると話した。

 「データは、驚異的なペースで生成され続けている。例えばクレジットカード会社は、クライアントのアカウント情報を瞬時に移動しなければならず、詐欺防止のためにデータの分析速度をこれまで以上に向上させなくてはならない。データセンターでもスーパーコンピュータが導入され始めているが、まるで怪物のように大量のデータを吸い込むスーパーコンピュータが普及しても、十分な能力を備えたストレージ製品を供給できるベンダーは数少ないだろう」(トレイナー氏)

 これとは異なる見方を示したのが、The 451 Groupのバルタザール氏だ。「今日流通しているクラスタ技術は、(すべてが)プロプライエタリである。

 しかし、PNFS仕様が策定されれば(ギブソン氏は数年前から、標準化団体に同仕様の策定を提案している)、企業もこれを採用しやすくなるはずだ。ただし現時点でのクラスタ技術は、HPCなど限定的なマーケットを対象としたものになっている」(バルタザール氏)

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