内部統制の決め手は「情シス部門の地位向上」運用管理の過去・現在・未来(2/3 ページ)

» 2007年07月09日 07時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]

経営陣と直接交渉

 情報システム部は、各事業部の情報システム課に対して是正を勧告するとともに、内部統制を実現するには全社統合の情報システム基盤が必須であることを改善案に盛り込んだ。それに対し、各事業部からは、予想以上の反発があった。

 特に目立ったのが、既存の情報システムを使い続けたいという強い要望だ。前述した“立派な”システムの中には、リプレースして償却の終わっていないものもある。導入や運用のコストはどうしてくれるんだ、という抗議もあった。

 当初、そうした苦情に対し、田中さんは明確な回答を出せずにいた。情報システム部が所属する本社組織は、各事業部と同等のポジションにあり、上に立って指図できる立場になかったからだ。

 そこで田中さんは、経営陣に直接提案を行うという強硬手段に出た。情報システム部長を介して本社組織を統括する執行役員に根回しし、このまま情報システムの改革を行わなければ、監査が通らず会社の信用は失墜するという事実、現在の運用管理コストを合計すると大きな無駄がある事実を切々と説いた。それが社長を動かし、結果的に情報システム部の意見がおおむね採用されることになった。

 その後の経営陣の判断は素早かった。情報システム部は、本社組織から社長直属の部署へと変更され、各事業部の情報システム課を吸収することになった。事業部を横断する組織となることで、ようやく全社統合システム基盤を構築するスタート台に立つことができたのだ。

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