バーチャルと現実とのはざまで――震災、選挙、書店、セカンドライフから見えるものオルタナブログ通信(2/3 ページ)

» 2007年07月22日 13時16分 公開
[森川拓男,ITmedia]

 今週のランキングで1位になったのは、「なぜ新宿紀伊國屋の店員はつまらなそうなのか」(シロクマ日報)という、ちょっと毛色の変わったエントリー。これは、小林啓倫氏が実際に経験したことを元に書かれたもので、書店好きな筆者も興味を持ったのだが、迷ったあげく、泣く泣く取り上げなかったものだった。コメントでのやり取りも膨大なものとなっており、それがアクセス数を押し上げたのかもしれない。ブログならではの盛り上がりといえよう。なお、これに関連する事項は後述する

 栗原潔氏の「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」に投稿された著作権絡みのエントリーが2つランクインしていたのも興味深かった。2位の「有料放送の録画違法化に反対している人は誰?」、6位の「著作権保護期間延長の議論がかみ合わないわけ」の2つである。これも前回取り上げようとしていたエントリーだった。こちらも関連事項を後述する

 ひと頃より少し落ち着いた感のあるiPhoneだが、今週は7位に「「iPhoneで日本語メールが書ける」のも不思議ではない」(CloseBox and OpenPod)がランクインしていた。日本での発売がどうなるか分からない段階ではあればこそ、興味をそそるタイトルだったのだろうか。

 また、前回取り上げた「誰が国民総背番号制に反対してきたのか?」(シリアルイノベーション)が9位に入っていたのも注目だ。

 それでは今週のオルタナティブ・ブログではどんな話題が発信されたのか、幾つか見ていくにしよう。

日本語版登場!セカンドライフ

 7月13日、ついに「Second Life」(セカンドライフ)の日本語β版が公開された(関連記事)。この正式な日本語β版公開と前後して、テレビなどのメディアでもセカンドライフが取り上げられたため、改めてセカンドライフの存在を確認した人も多いことだろう。

 そしてこのタイミングで小林啓倫氏「シロクマ日報」は、セカンドライフは時代遅れ?から3エントリー連続でセカンドライフについて取り上げた。

 セカンドライフは、あくまでも仮想空間の1つに過ぎない。そして、すでにセカンドライフは下火であり、別の同様なサービスへとユーザーは流出している、という意見もある。いま、セカンドライフ周辺がにぎわっているといえば、日本語対応したことで入ってくる企業と、それを目当てに入るユーザーくらいのかもしれないわけだ。

 セカンドライフが本当の意味でにぎわうのか、それともほかのサービスにユーザーを奪われて過疎化するのか。これからがいわば正念場、注目すべきところだろう。

リアルとネット――ネット時代の書店像とは

 以前、本稿で加山恵美氏「C'est la vie」オンラインもリアルもあってほしいを取り上げた(関連記事)

 その時は、リアルな書店に足を運ぶよりもAmazonなどのオンライン書店を利用することが増えたが、やはりリアル書店にも魅力があるため頑張ってほしい、という内容を書いた。いまでも、筆者のその気持ちは変わらない。

 そのリアル書店に関して7月10日、小林啓倫氏「シロクマ日報」においてなぜ新宿紀伊國屋の店員はつまらなそうなのかというエントリーが投稿され、コメントで熱い議論が交わされ、アクセスランキング1位になったのは、前述の通り。いろいろな立場からの発言がなされているので、ぜひ目を通してほしいと思う。

 そして今週は、小林氏を受ける形で、高橋徹氏「代替案のある生活」AMAZON はもういらない、私には。という興味深いエントリーが投稿された。

 筆者も、Amazonを使って本を購入することもある。特に、実家にいた頃と違って近場に大きな書店がないことから、少しでも専門的な本になったりすると近所の書店には置かれていないこともあり、ネット注文になることが多いのだ。

 しかし、リアルな店頭にはよいところがある。高橋氏の意見には、筆者も同感だ。かくいう筆者も、本をまとめ買いしてしまうタイプの人間だからだ。そして背表紙を眺める楽しみや、あの書店独特の匂い、そのような空気感にとてつもない安心感を覚えてしまう。気付くと数時間、書店で過ごしていたりする。いくらネットが進んでいったとしても、筆者のような人種がいる限り、リアル書店がなくなることはないだろう。

 そして、オンライン書店は、注文ができるデータベースとしての役割を、ますます強めていくに違いない。

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