いまなぜグリッド・コンピューティングなのか?――IBMのアラン・ガネック氏に聞く(3/3 ページ)

» 2007年07月25日 07時00分 公開
[米田聡,アイティセレクト]
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 ただ、従来のワークロードを単に仮想化しただけでは管理が複雑という問題は解決しません。それぞれのワークロードの要求に対してマニュアルで管理せざるを得ないという点に変わりはないからです。グリッドを導入することによって、サーバ間のリンクがより容易に管理できるようになります。また、グリッドの中でデータを有効に共有できますから、これも管理のしやすさにつながります。

――グリッド・コンピューティングによりエネルギーの利用効率を向上させるという例も紹介されていました。データセンターの電力消費が問題になっている中で興味深いお話です。すでに実用段階の技術ですか?

ガネック パワーマネジメントはIBMにとって比較的、新しい取り組みの一つです。5月初旬、IBMはパワーマネジメント技術に関する新しい発表を行いました。その中でご紹介したように、IBMはパワーマネジメントに関して、さまざまな側面から攻略する計画です。Tivoliソフトウェアによるパワーマネジメントは、IBMの総合的なパワーマネジメント戦略の一部です。

 Tivoliを利用したパワーマネジメントはすでに実用段階にあります。例えば、Tivoliによって、個々のプロセッサの消費電力や負荷を動的に把握することができます。エネルギーがどのように使われているのかを管理者は的確に知ることができますから、その情報をパワーマネジメントに役立てることができるでしょう。例えば、何月何日何時にこのタスクを実行しよう、といったワークロードのスケジュールを、エネルギー利用効率に基づいて決めることができ、エネルギーの有効な利用が可能になります。

 また、各部門がどのようにエネルギーを消費しているのか、どのワークロードがエネルギーを消費しているのかをグラフで確認できますから、管理者だけでなく各部門の担当者にエネルギー利用効率の意識を高めてもらうこともできます。

 こうした取り組みに加えて、もちろんサーバやストレージなどハードウェアサイドのエネルギー効率を上げていかなければなりません。また、データセンターではサーバが消費するのと同程度のエネルギーが、空調や照明などに費やされている事実があります。IBMは空調、照明といったコンピュータ周辺のエネルギー利用効率を向上させる技術の開発にも取り組んでいます。

月刊アイティセレクト」2007年8月号のトレンドフォーカス「『Grid World 2007』レポート」より)

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