Vistaの企業導入を進めたいマイクロソフト、キャンペーンでアピール

マイクロソフトは7月31日、企業向けにWindows Vistaの導入促進を図る戦略を発表した。

» 2007年07月31日 20時03分 公開
[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

 7月31日、マイクロソフトはWindows Vistaの企業向け戦略の発表会見を行った。企業への需要喚起、アプリケーションの互換性の確保、導入展開のための情報や手法の整備という3つの柱でVistaの製品価値を訴求していく。

 会見冒頭では、マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏によって、ビジネス市場におけるVistaの販売実績が報告された。それによれば、国内のライセンス販売実績は対前年比+29%(06年7月〜07年6月末まで)、Vistaの導入済み/導入予定台数は20万台(07年7月〜08月6月まで)となり、導入のスピードはWindows XPの10倍にあたるという。今回の発表は、このスピードをさらに加速させようとするものだ。これらの施策により、今年度のVistaのライセンス販売目標を対前年比+33%の63万台とする。

佐分利氏、中川氏 マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当 佐分利ユージン氏(左)と同社Windows本部 プロダクトマネジメント部 部長の中川哲氏(右)

Windows Vista Enterprise Readyキャンペーンを実施

 Vistaの需要を喚起する施策としては、「Windows Vista Enterprise Readyキャンペーン」を7月31日よりスタートする。これは、PCメーカー8社と共同で実施されるキャンペーンで、専用のWebサイトでVistaの導入・展開の支援を行うとともに、PCメーカーからは「Windows Vista Enterprise Ready」ロゴの入ったPCが提供される。

Vistaロゴ Windows Vista Enterprise Ready」ロゴ

 「Windows Vista Enterprise Ready」ロゴは、企業向けの最上位エディションであるVista Enterpriseが動作することを保証するマーク。ただ、メーカーそれぞれの基準でロゴを貼れるため、必ずしも統一されたスペックやVistaの全機能が利用できることを保証するものではない。「Vista Enterpriseが問題なく動作する」といった意味合いのものとなるようだ。

 発表時点で参加を表明しているメーカーは、以下の8社で、「Windows Vista Enterprise Ready」ロゴが付けられるPCは50機種以上とアナウンスされた。参加メーカー、ロゴ搭載PCは今後も増える予定。

  • ソニー
  • 東芝
  • 日本電気
  • 日本ヒューレット・パッカード
  • 富士通
  • 松下電器産業
  • 三菱電機
  • レノボ・ジャパン

互換性問題を解決するMDOPを提供

 新OSが登場すると、必ず問題となるのがアプリケーションの互換性問題だ。特に企業においては、新旧アプリケーションが混在しているケースが多く、旧アプリケーションの動作が保証されなければ、新OSへの移行がなかなか進まない現実がある。

 この問題に対して、マイクロソフトとしては互換性情報をさらに整備するとともに、昨年12月に発表されたMDOP(Microsoft Desktop Optimization Pack)というツールをさらに強化して提供する。

 MDOPは企業のVista導入を支援する5つのツールから構成され、ボリュームラインセンスユーザー向けのソフトウェアアシュアランスの契約ユーザーが年間契約により利用可能となっている(7月1日より提供開始。参考価格は1ライセンス当たり年間1200円)。

Microsoft Desktop Optimization Packが提供する5つのツール。
名称 役割
Microsoft SoftGrid Application Virtualization(SoftGrid) アプリケーションを仮想化し、サービスとしてクライアントへの配信を可能にするツール
Asset Inventory Service(AIS) 企業内のソフトウェア資産を管理するツール
Microsoft Advanced Group Policy Management(APGM) Active Directoryのグループポリシーの柔軟な変更・管理を実現するツール
Diagnostics and Recovery Toolset(DaRT) PCのクラッシュ、ブート時の問題や復旧にかかるコストを最小化するツール
System Center Desktop Error Monitoring(DEM) エラーレポートを集中的に管理し、OSとアプリケーションの障害の管理・分析を行うツール

 この中の特にSoftGridを用いることにより、アプリケーションの複数バージョンの混在が可能となり、OSに依存した互換性問題も解消できるため、Vistaへの移行が容易になるという。

事例の紹介を通じて、Vistaへの移行をさらに促す

 企業へのWindows Vistaの導入事例も幾つか紹介された。SoftGridの導入によりアプリケーションの互換性問題を解決したラフォーレ原宿の事例やVista Enterpriseへの移行によりセキュリティを高め、Business Desktop Deployment(BOD)による展開コストを削減した読売旅行の事例などが示され、今後もVistaの導入情報や導入事例を積極的に公開し、企業のVista導入を促進したいとの考え方が示された。

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