「人にやさしい」設計をシスマネ必携! 運用管理ルールブック

上手なIT運用管理のノウハウは、豊富な運用実績と的確な情報蓄積、見直しを繰り返してきたプロに聞くのが一番。ITアウトソーシング事業者は、そのノウハウ集の中で、ユーザー側と運用側との明確な職責分離を行うべきだと記している。

» 2007年08月15日 07時00分 公開
[岡田靖,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「運用管理の過去・現在・未来」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


ルール1:運用に関する情報は分かりやすくまとめよ

 システム運用の現場では、システムに関する膨大な情報が常に流れ込んでくる。特にシステム監視ツールを使っている場合はなおさらだ。また、多数のマニュアルやドキュメント類も必要となる。運用管理現場において、こういった情報を読み違えることは致命的なミスにつながりかねない。

 きちんと情報を整理すると同時に、その情報の扱い方のルールを統一し、ある程度のスキルがあれば瞬時に内容を把握できるようにしておくことが大切だ。

ルール2:ルールに沿った命名を

 例えばサーバ名、ノード名やネット名、ジョブ名などは、それぞれの中身を端的に示す名称であることが望ましい。また、システムごとに違ったルールで命名されているようでは、運用現場に混乱を生じ、ミスにつながりかねない。きちんとした命名規則を作って標準とし、それを厳格に守るべきである。

 命名規則の統一化はプログラミングの基本でもあるから、そんなことは当然だという意見もあるだろう。しかし、システムごとに別のインテグレーターに開発を委託した場合などは、それらの間で共通化できるだろうか。何も指示を出さなければ、各インテグレーターが、あるいは開発者が、それぞれの基準で命名したものがシステムに組み込まれてくるはずだ。社内開発であっても、複数のプロジェクトで複数の開発者がシステム構築を行えば、やはり属人的な命名規則が乱立してしまいかねない。

 運用を安全・確実なものにするためには、システム開発の初期の段階から明確な意識を持って取り組む必要がある。

ルール3:オペレーションの手順を統一せよ

 名称だけでなく、さまざまなメンテナンスオペレーションの操作手順、コマンドなどを統一しておくことも大切だ。エラーなどの際には、「迅速に対処しなければ」という気持ちが強くなり、操作ミスにつながりやすい。

 ミスを誘発するような要素は可能な限り排除しておくべきである。できるだけ各システムで共通の手順としておくことが望ましい。そのためには、できればプラットフォームも統一しておきたいところである。

 とはいえ、実際には各システムの都合などで、どうしても標準化できない部分が出る可能性もあるだろう。そういった部分に関しては、あえて共通の手順と大きく違えて手順を作るという方法がある。似て非なる手順では勘違いしやすいが、全く異なる手順であれば注意して操作することになり、むしろミスを防ぐことにつながるというわけだ。

 手順の標準化は、スクリプトなどを作って操作を自動化する際にも役立つ。逆に、標準化されていなければ、多数の、しかも似たようなスクリプトを用意せねばならず、その利用時にも間違いが生じやすくなる。

 また、バッチジョブなどでは、何らかのエラーで中断してしまった場合の再ラン方法なども明確にしておくべきである。

 これに関しては、ジョブの設計段階からエラーや再ランを意識することが望ましい。エラーとなった段階以降を手で操作するようではミスを招きやすくなる。エラーになりやすそうな部分を想定しておき、そこから後のみを実行する応急処置用ジョブを作っておくなどの工夫も役に立つだろう。

ルール4:バックアップやリストアの手順はじっくり勉強して作るべき

 ストレージ関連、特にバックアップ/リストア作業に関しては、データの種類、内容、容量など、さまざまな条件によって細かなノウハウが蓄積されている。個別に説明するよりも、それらの多くは書籍やドキュメントとして出回っているので、運用設計の際には目を通していただきたい。ストレージ関連の設計は運用に大きな影響を及ぼすものだから、綿密な見積もりを立てておくことが望ましい。(取材協力:野村総合研究所)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ