第9回 EMモバイルBBは「あなたの仕事を20倍速くする」のか?再考・ワイヤレスネットワーク(1/4 ページ)

イー・モバイルの高速モバイルデータサービス「EMモバイルブロードバンド」。サービスエリアはPHSデータ通信にはかなわないが、その高速性はビジネス活性化のための大きな潜在能力を秘めている。その使い心地を検証、可能性を考察してみた。

» 2007年08月16日 07時00分 公開
[池田冬彦,ITmedia]

通信速度はPHSの約20倍

 今年3月からサービスを開始したイー・モバイルの高速データ通信サービス「EMモバイルブロードバンド」は、携帯電話の3G技術である「W-CDMA」を拡張した「HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)」により、下り最大3.6Mbpsの通信が可能な高速データ通信サービスだ。これは、PHSデータ通信「4xパケット方式(204Kbps)」に比べ、およそ17〜20倍のパフォーマンスを得られる。

 EMモバイルブロードバンドは、同社が販売するWindows Mobile 5端末「EM・ONE」でも利用できるが、実は、このサービスの恩恵を最大限に受けるのは、ノートPC+データ通信アダプタによる活用である。というのも、ノートPCは小型端末に比べてCPUの処理能力が高く、メモリやストレージ、OSといったボトルネックの影響が小さいため、HSDPAの高速性をそのまま享受できるからだ。また、普段使い慣れたノートPC、アプリケーションをそのまま利用できるというメリットもかなり大きい。

 現在、イー・モバイルはPCカードタイプの「D01NE」、CFカードタイプの「D01NX」、USBタイプの「D01HW」の3種類の通信アダプタを提供している。使用するノートPCのタイプに応じて、好みのものを選べる。中でも「D01HW」はUSBでPC本体と接続するので、将来PCを買い換えた場合でもインタフェースの適合性を心配する必要はなく、デスクトップPCでも使える。また現在のところ、Mac OS Xに対応する唯一のアダプタでもある。

 EMモバイルブロードバンドを利用するには、大手家電量販店の「イー・モバイルショップ」コーナーで申し込みを行うだけだ。または、「D01NE/D01NX」は、同社ホームページのオンラインストアから申し込むこともできる。

 料金プランは大きく分けて完全定額制の「データプラン」と、約17MBまでのデータ転送量までは定額で、あとは約52MBのデータ通信量までは使った分まで従量料金となる、2段階定額制の「ライトデータプラン」の2種類になる。この基本プランではそれぞれ、機器の販売価格が割り引きになる「データ/ライトデータプラン(いちねん)」、もしくは、機器の割引はないが月額料金が割引される「年とく割」を選べる「データ/ライトデータプラン(ベーシック)」のいずれかが選べる。

 例えば、月額ランニングコストを最も抑えたいのであれば、「ライトデータプラン(ベーシック)」を契約して「年とく割」を申し込めば、月額料金は約17MBまでの利用で2480円、フルに使っても最大5480円だ。また、データプラン(いちねん)を契約した場合でも、月額5980円で使い放題だ。モバイルデータ通信サービスとしては、まさに破格のコストと言える。

表●EMモバイルブロードバンドサービスの料金
サービス 月額料金 コメント
データプラン(ベーシック)+年とく割 4980円 機器価格の割引なし
データプラン(いちねん) 5980円 機器価格の割引あり
ライトデータプラン(ベーシック)+年とく割 基本2480円、上限5480円 機器価格の割引なし
ライトデータプラン(いちねん) 基本3480円、上限6480円 機器価格の割引あり
年とく割、いちねん(1年契約)の場合、1年に満たない期間で解約すると所定の解約金を支払う必要がある
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ