携帯向けJava、海外出荷鈍るも長期見通しは明るい

アプリックスは2007年12月期の中期決算を発表した。JBlendの海外出荷減や次世代プラットフォーム開発の凍結で減収となった。

» 2007年08月16日 17時10分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 アプリックスは8月16日、2007年12月期の中間業績(連結)について説明を行った。携帯電話向けのJavaプラットフォーム「JBlend」の海外出荷の大幅減やミドルウェアフレームワークの開発凍結による特別損失の計上で、減収となった。

 中期業績は、売上高29億3700万円(前年同期比14.9%減)、営業損失8億6500万円(前年同期は16億4400万円の損失)、経常損失7億2000万円(同12億6800万円)、当期損失70億5900万円(同18億200万円)。

 主力のJBlendは、特に北米市場での携帯電話端末の販売が低迷した影響から、売上高が前年同期の17億円から今期は1700万円となった。「大幅な端末の出荷増を記録したメーカーもあるが、全体的な落ち込みを補うまでには至らなかった」(郡山龍代表取締役会長)。

 一方、国内市場の売上高は27億6200万円(前年同期は14億9900万円)と好調。欧州およびアジア市場は堅調に推移した。下期以降の見通しについて、郡山会長は「北米では出荷が好調なメーカーの成長率が高く、市場全体の底上げにつながっている。中国では100ユーロ以下の廉価な端末で画面のカラー化が進み、中長期的に(Javaを利用するリッチコンテンツの)需要が高まる」と話した。

JBlend搭載の携帯電話端末の出荷動向。06年は海外(青色の棒グラフ)が好調な反面、国内(赤色の棒グラフ)は番号ポータビリティ制度の買い控えで低調。今期は逆の傾向をみせる

 国内市場では、KDDIがBREW上でJavaを実行できる「オープンアプリプレイヤー」を07年春モデルから搭載し始めた。au端末では、2003年よりJavaからBREWへのプラットフォーム移行が始まり、近年の端末ではJavaを実行できなくなっていた。再びJavaをau端末上で実行できるようになり、今後はJBlendのシェアが高まると同社では予想する。

 同社が携帯電話向けの次世代のミドルウェアフレームワークとして「AMF(Aplix Middleware Framework)」の開発を進めてきた。07年内の販売開始を目指していたが、複数の端末メーカーが採用に難色を示し、5月に開発凍結を決定。AMF関連資産の特別損失約76億円を計上した。

 郡山会長は、「要素技術の開発は業績に影響のない範囲で継続している。一部には採用に前向きなメーカーもあり、開発の成果を生かしていく」と話した。AMFのコンセプトは、ソフトバンクモバイルが導入を進める携帯電話向けの共通API指向型プラットフォーム「Portable Open Platform Initiative(POP-i)」(関連記事)にも活用される。なお、AMFの要素技術を利用した受託開発で約8億5000万円の売り上げを計上している。

 下期は、海外出荷が引き続き低調に推移すると同社では見ており、2007年12月期の通期予想は売上高60億円、営業損失10億円、経常損失10億円、当期損失75億円としている。

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