お手軽気分で参加しても火傷する――自然とシャドーワークしてしまう人たちプロデューサーからのメッセージ(2/2 ページ)

» 2007年08月21日 07時00分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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プロデューサー稼業はシャドーワークになってしまう

 ウェブや携帯電話にエンターテインメントコンテンツを配信する企業であるドーガ堂のコンテンツ部General Manager、浅見敬氏も野口氏のアドバイスと同様の意見だ。プロデューサー型のワークスタイルで働いている人はオンとオフの境目がないように見える。浅見氏は映画のプロデューサーとしてのキャリアもある。参照記事

 浅見氏は次のように指摘する。

 「ある人から別の人への紹介を受けたら、真摯に対応するのは基本ですね。自分が会いに行く場合、人が会いにくる場合、どちらも同じです。社外のネットワークがどんどんつくられていくときは、オンとオフの境目がなくなっているように見えるわけですが、どちらかというと、オンの部分にオフがどんどん入り込んでくる感じでしょうか」

ドーガ堂 コンテンツ部 General Manager 浅見敬氏

 それほど意識することなく、人脈がつくられていくときとはそんな感覚になるのかもしれない。浅見氏はシャドーワークも同様ではないかと話す。

 「シャドーワークが目的ではなくて、プロデューサー型のワークスタイルで仕事をしている人は、その仕事の一部がどうしてもシャドーワークになっていくのではないですか。シャドーワークをしようと意気込むのではなく、そのときの最善策でプロジェクトを進めようとした場合、シャドーワークという方法がとられるかもしれないということでしょう」

ネットワーク力とメッセージ力

 スタイルだけのシャドーワークは無意味ということだろう。また、スタイルだけの「プロデューサー型」というのも意味がない。

 「映画のプロデューサーだと、基本的には独立独歩で、社内の人脈というよりも社外のリソースをフル活用するわけです。プロデューサー同士はあまり自分の進めているプロジェクトについて話したりしないですね。ただ、『プロデューサー型』のワークスタイルということであれば、プロデューサー的な役割の人が、社内で協力しあうことは重要だと思います。秘密主義だなんて思われたら、いざというときに何も進まなくなる可能性があるでしょう」(浅見氏)

 強い想いと細かい目配せ、そしてフットワークの軽さ。プロデューサー型ワークスタイルの実践に最低限必要なのは、そうした資質なのだろう。

 プロデューサー型ワークスタイルを実践している人の話を聞いていると、社内外のネットワークと伝えるべきメッセージが両輪となってシャドーワークは進められていくものだと感じる。広くて深いネットワークだけがあっても、そこに流れる共感を呼ぶメッセージがなければ、実現したい結果のイメージは出てこない。また、強いメッセージ、想いだけがあっても、ネットワークがなければ共感を呼び、大きな成果を生み出すことは不可能だ。シャドーワークは決して仕事の手順の1つではない。ネットワークとメッセージをうまく活用するには、人の心理についての洞察力が重要になってくるのかもしれない。

月刊アイティセレクト」2007年9月号 特集「シャドーワークを使いこなすプロデューサー型社員を目指せ」より)

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