仮想化環境で高い可用性を実現する構成例仮想化の達人(2/2 ページ)

» 2007年09月19日 06時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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待機サーバの統合

 本番サーバごとに待機サーバを用意すると、サーバの台数が2倍に増えてしまうことはすでに述べました。しかし、本番サーバまで仮想化環境下で稼働させてしまうケースが少ないことも上述しました。

 この問題を解消するために、複数の待機サーバを、仮想化技術を利用して1台の待機サーバに統合する方法がまず考えられます。本番サーバは物理的なブレードサーバ上で稼働させ、待機サーバのみを仮想化環境下で複数稼働させるイメージです。この方法では、従来の構成と比べて待機系サーバの物理的な台数を減らすことができます。

 仮想化された複数の待機系サーバが1台の物理サーバに入っているということで、「複数の本番サーバで同時に障害が起こったらどうするんだ」と心配されるかも知れませんが、複数の本番サーバで同時に障害が発生する確率は、本番サーバ1台で障害が発生する場合に比べてもはるかに低いといえます。

相互ホットスタンバイ

 上記方法と比べると若干ハードルが高くなりますが、相互ホットスタンバイ構成というものも考えられます。これは、本番サーバと待機サーバを仮想化技術を用いて、1台の物理サーバに統合するものです。

 イメージをつかむために、例を挙げて説明します。従来の環境として、Aという業務を実行する本番サーバとBという業務を実行する本番サーバ、さらにそれぞれA’、B’という待機サーバがあるとします。

 先ほどの待機サーバの統合であれば、物理サーバ上で稼働するAとBの本番サーバ、A’、B’が仮想環境下で稼働する待機サーバの少なくとも3台が必要となりますが、相互ホットスタンバイ構成では、以下のように2台の構成となります。

サーバ1:Aの本番サーバ+B’の待機サーバ

サーバ2:Bの本番サーバ+A’の待機サーバ


 正常時は待機サーバがリソースを利用しないことを利用した構成で、サーバ数を減らす目的にはかなり有効です。上述したように、本番サーバを仮想化環境下で動作させるケースは現時点ではまだまだ少ないですが、今後、仮想化環境の成熟にしたがってこうした構成も増えてくると思われます。

 なお、この構成では、例えばAの本番サーバに障害が発生した場合、サーバ2では2つのシステムが稼働することになります。このため、ブレードサーバの処理性能が、2つのシステムを稼働させた場合でも処理可能な範囲で組み合わせを考えていく必要がありますので注意してください。

 また、質問にはありませんが、一般的には、本番サーバとその待機サーバだけでなく、開発用サーバやその検証用サーバ、さらに検証用サーバの待機サーバなどが稼働しているのかと思います。

 こうした場合にまず考えるのは、もっとも優先度が低いと思われる検証用サーバの待機サーバを仮想化し、配置の最適化を図っていくことです。その配置方法については上記に挙げた2つの方法などが参考になるかと思いますが、いずれにせよ、待機のためだけのサーバというものが存在しないような構成にすることが望ましいでしょう。

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