F1レースの現場を支えるThinkPad(2/2 ページ)

» 2007年10月02日 06時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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 セッション終了後は、さらに詳しい走行データが車体からノートPCにケーブルで転送され、車体側に関連するものとエンジン側に関連するものに分類される。エンジンに関する情報はエンジンを供給するトヨタ自動車のエンジニアが、車体に関する情報はドライバー専属のエンジニアがそれぞれT60pで分析を行い、翌日以降のセッションに向けてレースカーの細部設定を進めていく。これらの作業は深夜にまで及ぶことも多く、翌日には決定したセッティングを再びノートPC経由で車体のコンピュータにインストールする。決勝まではこの手順を繰り返し行っていく。

セッション中はピット内の端末でも状況を絶えず確認。セッション後の詳細な解析作業は、この壁面の反対側にある非常に狭いスペースで行う

 なお、日本GPを見る限り各チームの指令センターで使用されるPCは大半がデスクトップであり、モバイルノートPCを利用しているのはWilliamsチームだけであった。PC設置スペースには、空冷ファンが設置されており、猛暑など過酷な天候でもデータを安定して処理するための工夫がされていた。

英国ともリアルタイムに

 今年のF1は世界16カ国17のサーキットで行われているが、各会場とWilliamsチームの本拠がある英国とはAT&Tのネットワークで接続され、継続的なレースカー開発に必要な情報がリアルタイムに送られている。

 本社工場には、Lenovoが130台のThinkPadと400台のワークステーションを供給しており、細かなパーツの設計から空気抵抗を軽減するための風洞シミュレーション、レースチームとは別に組織されているテスト走行部門など、チームのあらゆる部門で同社のシステムが利用されている。

 今回の日本GPは、29日の練習走行は晴天に恵まれたものの、29日の予選、30日の決勝はともに大雨となり、選手権上位のドライバーですら何度もコースアウトし、リタイアに追い込まれるなど、近年まれに見る大荒れのレース展開となった。Williamsチームのロズベルグ選手とヴルツ選手は、残念ながらリタイアとなった。

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