シスコシステムズはIEEE 802.11n対応の無線LANアクセスポイントを発表。企業向け高速無線LANソリューションを強化する。
シスコシステムズは10月4日、企業向け製品としては初めて、無線LANの高速化規格「IEEE 802.11n ドラフト2.0」のWi-Fi認定を獲得したアクセスポイント製品「Cisco Aironet 1250」を発表した。
Aironet 1250は、従来の無線LANに比べて最高で5倍のスループットを実現するIEEE 802.11nに対応したアクセスポイント(AP)製品。本体は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術に対応した2.4GHz帯および5GHz帯の2つの周波数モジュールで構成され、片方のモジュールだけの運用や両モジュールを用いた運用も可能だ。
アップリンクは10/100/1000Mbpsイーサネットを利用でき、PoE(Power over Ethernet)にも対応する。同機を用いてネットワークをメッシュ構成にする場合には、APのソフトウェアをアップデートすることにより、スタンドアロンもしくはコントローラによる集中制御での運用が可能になる。
本体のメモリは、従来比で2倍(DRAMは64Mバイト、フラッシュメモリ32Mバイト)に増強され、将来のソフトウェアアップデートによる機能強化が行える。なお、IEEE 802.11nが正式に標準化された場合に、ドラフト仕様のハードウェアが対応できない場合には、ワイヤレスモジュールの交換で対応可能になるという。
同社では、無線LANチップの供給を受けるIntelと共同で11n対応機器との相互接続試験を今年6月から進めている。また、Aironet 1250はWiFiアライアンスによる相互接続試験のベンチマーク機器としても利用されているという。
Aironet 1250の発売に合わせて、同社ではイーサネットスイッチ製品「Catalyst」シリーズの強化を予定。11nを利用した高速無線LANソリューションを強化する。
Aironet 1250は、2.4GHz帯および5GHz帯の2つの周波数帯で運用する場合に必要となる電力量が18ワットとなる。だが、PoEで供給可能な最大電力量は15ワット程度になるため、同社では最大18ワットまでの供給を可能にする「インラインパワー」と呼ばれる独自のソフトウェアを、Catalystシリーズに実装する予定。年末にも提供を開始する。
また、大規模施設向けのコアスイッチ「Catalyst 6500」シリーズでは、搭載可能なコントローラモジュール数を現在の5基から6基に拡張する。コントローラモジュールは1基当たり300ポートをサポートでき、Catalyst 6500では最大1800ポート、48Gbpsまでのコントロールが可能になるという。
同社の竹山哲治プロダクトマネジャーは、新製品について「11nを用いた次世代の高速無線LANのインフラシステムとして開発した。相互接続試験のベンチマークとしても利用され、高速通信と信頼性を両立を実現させている」と話す。
11nの導入が想定されるのは、教育機関や製造業、小売、医療介護などの分野。例えば、医療現場ではCTスキャンなどの機器で利用される大容量のデータを無線経由で解析装置へ転送するといった利用が想定される。また、11nのMIMO技術を活用することで通信の安定化が図られるため、VoIP(Voice over IP)内線システムでは遅延の解消など、通話品質の向上が期待される。
Aironet 1250の価格は、2.4/5GHzのフルモジュールモデルが17万6000円。10月24日から全世界で販売を開始する。
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