OracleによるBEAの買収提案でFusionをめぐる疑問が浮上(2/2 ページ)

» 2007年10月15日 18時37分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 OracleによるBEAの買収提案をめぐる最大の疑問は、両社の製品間に重複する部分が多いため、OracleがBEAのミドルウェア技術をFusion Middlewareに組み込むつもりなのか、それともBEAの技術を別個のスタックとして利用するのかという点だ。

 「問題は、FusionとBEAのAquaLogicミドルウェアのどちらが残るのかということだ。両方を抱えておく意味がないからだ」とワング氏は話す。

 異なる見解を抱くアナリストもいる。AMR Researchのアナリスト、ビル・スワントン氏によると、最大の疑問は、技術的な観点からOracleはBEAをどうするつもりなのかということだという。「よく見れば、SOAプラットフォームに関してはBEAの方が大きな成功を収めている。彼らはOracleよりもずっと先を進んでいる」と同氏は指摘する。「BEAは通信および金融業界でOracleよりもはるかに大きな契約を結んでおり、その顧客ベースはOracleにとって魅力的だと言える」。

 スワントン氏は5月に公表した報告書「SOA and BPM for Enterprise: A Dose of Reality」(SOAとBPM:企業にとっての現実)の中で、Oracleの技術とBEA(ならびにIBM、SAP、Tibco、WebMethods)の技術を比較している。

 スワントン氏はこの調査を通じて、BEAの技術がOracleの技術よりも優れている点が幾つかあることが分かったという。「BEAのサービスレジストリとリポジトリの方が、はるかに完成度が高い。優れたユーザーインタフェースと優れたBAM(Business Activity Monitoring)機能を備え、BPM(Business Process Management)技術もOracleの技術より少し優れている」と同氏。

 「BEAのレジストリ、リポジトリ、ユーザーインタフェース、BAM、BPMの各技術はすべて、Fusion Middlewareで直接利用することができる」とスワントン氏は指摘する。

 一方、Enterprise Applications Consultingのジョシュア・グリーンバウム社長によると、OracleはBEAよりも広範な統合プラットフォームを提供しているという。「Fusion Middlewareには、Oracleが持っているアプリケーションスタックに組み込める機能が非常にたくさんある」と同氏は話す。

 Oracleの買収提案は、BEAの幹部にとっては朗報ではないかもしれないが、同社の顧客には好意的に受け止められるとグリーンバウム氏は考えている。「BEAの顧客は長期的な凋落傾向にある企業に頼ってきた。今回の買収提案は、Oracle技術をスムーズに導入するチャンスを顧客に与えるものだ」と同氏は語る。

 グリーンバウム氏によると、BEAの買収を狙うOracleの動機は基本的に顧客志向であり、技術志向ではないという。「BEAの顧客を取り込み、アプリケーション分野でやったのと同様の作戦を展開しようというわけだ。まずメンテナンスビジネスを手に入れ、最終的にこれらの顧客をOracleに移行させるというのが同社の作戦だ」と同氏は分析する。

 Oracleは実際、買収を通じてアプリケーション事業を拡大してきた。同社は2005年、敵対的買収をめぐる戦いの末、大手ERP(Enterprise Resource Planning)ベンダーのPeopleSoftを手中に収めた。PeopleSoftは当時、もう1社のERPベンダーである JD Edwardsを100億ドルを超える金額で買収したばかりだった。

 OracleはPeopleSoftの買収で自社の顧客ベースを大幅に拡大する一方で、アプリケーション企業の買収を続け、2006年にはSiebel Systemsを、今年5月にはAgileを手に入れた(買収金額はそれぞれ58億5000万ドルと4億9500万ドル)。

 オラクルがソフトウェアベンダーの買収で狙っているのは、データベースとミドルウェアとアプリケーションを連携するという戦略の推進であり、BEAの技術もこの戦略に適合する。

 「これはまさにワンストッピングショッピング戦略だ」とグリーンバウム氏は語り、ミドルウェア技術はコモディティ化しつつあり、戦略的優位としての意味が薄れてきたと指摘する。「現在では、一種の宗教的な熱意からミドルウェアを採用するユーザーはいない」(同氏)

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