Oracleの急拡大に不安を抱くPeopleSoftユーザー(1/2 ページ)

PeopleSoftのユーザーたちは、Oracleのサービスの質に疑問を投げ掛けている。

» 2007年10月31日 06時00分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 OracleがBEA Systemsの買収に成功すれば、これは同社にとって2005年以来、37番目の買収となる。同社の買収熱は、同年のPeopleSoftの乗っ取りでスタートした。ソフトウェア業界でOracleは飛び抜けてどん欲な企業というわけではないが――IBMとInforは同じ期間中にOracleと匹敵する数の企業を買収した――執拗なアプローチという点ではOracleは群を抜いている。しかし同社は表向きには、獲得した顧客ベースに対して非常に融和的なアプローチで臨んでいる。

 PeopleSoftの買収に際しては、当初、Oracleが同社の顧客ベースを獲得した後で、同社のソフトウェアを生産中止にするのではないかという憶測が流れていたため、Oracleは多くの顧客の不安を払拭しなければならなかった。そして同社は実際に、PeopleSoftとJD Edwardsのユーザーに無制限のアプリケーションサポートを提供することで顧客の不安を払拭した。

 しかしPeopleSoftの顧客の中には、Oracleのサービスの質に対して懸念を表明する企業もある。そしてこのことは、買収した多数の企業の統合に成功しているとするOracleの主張に疑問を提起している。PeopleSoftをめぐる状況は、BEAの顧客がOracleのサポートをどう評価するかを推測するバロメーターになりそうだ。

 テキサス州シュガーランドにあるImperial Sugarのジョージ・マラー副社長兼CIO(最高情報責任者)は、「PeopleSoftを使い続けるのはリスクがあるように思える。われわれはこのリスクを評価しようとしている」と話す。同氏は、Oracleが最近リリースした「PeopleSoft Enterprise 9」へのアップグレードを検討中だという。「わたしのみたところでは、PeopleSoftを見限り、他社製品に乗り換えた企業も少なくないようだ」と同氏は話す。

 PeopleSoft(現在はOracle)のアプリケーションのユーザーグループの幾つかに参加しているマラー氏によると、少なくともDistributors and Manufacturers Users Group(DMUG)の場合、代表者を送っているユーザー企業の数は大幅に減少したという。DMUGのWebサイトの説明によると、同グループは「PeopleSoft Distribution/Manufacturing/Supply Chain製品のライセンスを保有するすべてのPeopleSoftユーザーで構成される個別製品ユーザーグループ」だとされている。

 マラー氏によると、2005年4月にニューオーリンズで開かれたDMUGの年次ミーティングには約150社の企業の代表が参加した。しかし2006年10月までに、同グループの規模は約75社と半分に縮小した。「1年半の間に参加企業が50%減少した。不参加の企業は独力で運用しているか、他社製品に乗り換えたかのどちらかだ」と同氏は語る。

 マラー氏によると、2006年10月のミーティングでは、OracleのPeopleSoft部門がDMUGの会員に対し「われわれは戻ってきた」という主旨のアピールを行ったという。「本当に戻ってきたのであれば、そのことをあえてアピールする必要はない。それよりもユーザーに電話をかけて何か問題はないかと尋ねたり、ユーザーがヘルプデスクに問い合わせたときにきちんと問題に対処したりすることによって、行動で示せば良いのだ」とマラー氏は語る。

 「Oracleがこれまで行った買収を冷静に見れば、1社でこれほど多くの企業を買収しながら事業を維持し、顧客にサービスを提供するのは不可能ではないか思えるくらいだ」(同氏)

 DMUGの現会長であるBerlin Packagingのスティーブ・キャンターCIOによると、PeopleSoftのアプリケーションがOracleの管理下に入った後も、顧客サービスは従来と変わらず、一部では改善されたところもあるが、機能面でのアップグレードは従来よりも見劣りがするという。

 「多くの製品ラインで感じられるのは、製品機能の改善という点では以前ほどの活気が見られなくなったということだ」とキャンター氏は話す。

 「PeopleSoftはJD Edwardsの買収後、製造業向けのJD Edwards製品のマーケティングを強化するという方針を決定した。OracleがGo-to-market戦略の手始めとしてPeopleSoftを利用するつもりがなかったのなら、機能強化のインセンティブはあまりなかったと言える」とキャンター氏は指摘する。同氏によると、Oracleはほかの製品ラインの一部でもこの方針を続けているようだという。

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