Oracleの急拡大に不安を抱くPeopleSoftユーザー(2/2 ページ)

» 2007年10月31日 06時00分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 キャンター氏は、当分の間、PeopleSoftを使い続けるつもりだ。移行には大きな混乱が伴うからだ。しかし同氏は、Oracleの方針には不安を感じる部分もあるという。例えば、PeopleSoftであれば、他社から取得した機能を統合していただろうが、Oracleはそうはせず、自社のほかの製品ラインへの移行を促しているのだ。

 ビジネス的な観点から見れば、ほかの製品ラインを活用するという戦略は理にかなっているが、中堅企業のCIOにとっては受け入れ難い方針であるようだ。「多くの異なる製品群をサポートするだけのリソースをわれわれは持ち合わせていない」とキャンター氏は話す。「アプリケーション間の連携がいかに優れていようとも、あらゆる機能が単一のアプリケーションの下に統合されている方がいい。われわれが単一のアプリケーションを選んだ理由の1つもそこにある。しかし現実はその方向から外れつつあるようだ。それを主導しているのがOracleだ」。

 顧客の間には、Oracleのリソースがコアアプリケーションの開発からFusionの開発にシフトしていることが、PeopleSoftのソフトウェアをめぐる問題の幾つかの原因だと指摘する声もある。「それを裏付ける確かな証拠がある。戦略と開発に関連した取り組みの多くはFusionに向かっており、そのせいで必然的にほかの製品ラインからリソースが奪われるのだ」とキャンター氏は話す。

 ミドルウェア開発企業であるBEAの買収を狙うOracleのもくろみは、OracleのFusion開発の取り組みに対する疑念を呼ぶものとなっている。Fusion Applicationsの開発責任者であったジョン・ウーキー氏が最近、Oracleを去ったことも、このミドルウェアの将来をめぐる不安を増幅させている。Imperial Sugarのマラー氏は、「ITビジネスに30年間、携わってきて分かったのは、完全なシステムなど存在しないということだ。Fusion Applicationsも例外ではない」と指摘する。

 「手法やプロセスがいかに優れていようとも、異なる製品を結び合わせて巨大なシステムを作るというのは大事業であり、大きなリスクを伴う」(同氏)

 OracleのFusion Applicationsの基盤となるFusion Middlewareは、連携ツール、ビジネスインテリジェンス、ビジネスプロセス管理、開発ツールなどのソフトウェアを統合したもので、Oracleによると、これは最も急速に成長中の製品ラインだという。また、同社には優れた技術スタックがあるので、BEAよりも市場シェアを大きく伸ばしているとしている。

 しかしBEAを買収するというOracleの戦術を疑問視する向きもある。「BEAをめぐる動きはまったく理解できない。Oracleが言うほどFusion Middlewareが素晴らしいものであるなら、ミドルウェア企業をなぜ欲しがるのだろう」とキャンター氏は話す。

 PeopleSoft、Oracle、Lawsonなどのベンダーの人事管理製品のユーザー向けにサービスを提供しているコンサルティング/調査会社のRemyで筆頭執行役員を務めるアンドリュー・アルバレル氏は、OracleによるBEA買収の試みに期待しているという。買収が成功すれば、Remyが手がけるPeopleSoftのインプリメンテーションの継続性が高まるからだ。ほかの多くのPeopleSoftインプリメンテーションと同様、同社のインプリメンテーションもBEAのミドルウェアを利用している。

 アルバレル氏によると、OracleのFusion MiddlewareのユーザーもBEAの買収で恩恵を受ける可能性があるという。Fusion Middlewareの機能が要求水準に達していないからだ。「これをインストールした当社の顧客はどこも、まだ使用していない。必要とする機能の速度が十分ではないと感じているからだ」とアルバレル氏は語る。

 BEAの買収で新たな技術スタックと優良顧客リストを手に入れれば、Oracleの収益にもプラスになる可能性があるが、PeopleSoftの顧客の経験は当然、BEAの顧客がどう反応するかをめぐる疑問を呼び起こしている。

 「BEAの顧客にとっては、ハロウィンの幽霊屋敷に行くようなものだ。どのドアを開けても、そこにはPeopleSoftやHyperion、Siebelの妖怪、骸骨、カボチャのちょうちん、化け猫、魔女がいるのだ。幽霊屋敷を通り抜けると、行き止まりには墓地があり、ユーザーの名前と『安らかに眠れ』という文字が記された墓石が立ち並んでいるのだ」(マラー氏)

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