携帯電話だからこそ、ユーザーがネットに求めるものモバイルサイト活用術(2/2 ページ)

» 2007年11月06日 05時20分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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 MMD研究所が毎月実施するモバイルコマースの利用動向調査によれば、男性では書籍やCD、女性では健康関連商品や美容品を購入するとの回答が、毎回上位に並ぶ。また、月間の平均購入額では毎回の調査で4割以上が1万円と回答している。

 「購入商品の傾向が実際の通信販売とも似ており、購入金額も予想以上に高いことが明らかになってきた。携帯電話でのショッピングに利便性を感じるユーザーが多く、携帯電話インターネットに慣れたユーザーが、金銭的に余裕のある世代になり始めたようだ」(吉岡氏)

 吉岡氏によれば、携帯電話でのショッピングはPCのように欲しい商品を丹念に探すということが少なく、ユーザーはテレビや雑誌などで話題の商品に触れた際に購入する傾向が強いという。これは、小さな携帯電話端末でじっくりと商品を探す行為が難しいことが理由の1つだとみられる。

 「欲しい商品に出会った瞬間にショッピングサイトへアクセスできるのは、携帯電話ならではメリット。テレビ番組から誘導する、雑誌のQRコードから誘導するという具合に、モバイルコマースではほかの媒体との連携が大切になりそうだ」と吉岡氏は分析する。

 9月に行った検索サイトに関する利用動向調査では、10〜40代のユーザーの約9割が「利用経験がある」と回答した。利用シーンは、「自宅にいるとき」が半数以上を占め、次いで「待ち合わせなど」が12.2%、「移動中」が9%と続く。検索内容は、男女とも音楽情報や交通情報、テレビ番組情報などが上位に並ぶ。

 また、「検索結果を何ページまで確認するか」との質問では、「2〜3ページ」が45.1%でトップとなったものの、「4〜5ページ」「6ページ以上」も、それぞれ2割強が回答している。また、複数の検索サイトを利用するユーザーが全体の8割以上を占めた。

見えたもの

 これらの調査結果から、モバイルサイトではユーザー同士が交流できるコミュニティー性を取り入れることが成功条件になるといえそうだ。「モバイルマーケティングの成功事例で最近見られるのがファンサイトの運営。特に飲料や食料品では掲示板でユーザーが評判を書き込み、お互いに情報を交換し合う。口コミがユーザーを広げ、結果として成功につながっているようだ」と吉岡氏。

 さらに、一時は迷惑メール問題で衰退したメール広告も、再び注目され始めた。現在では携帯電話会社の迷惑メール対策が進み、悪質な内容の迷惑メールを排除できるようになりつつある。ドメイン指定受信などを設定しなくても、ユーザーが手軽に承認してメール広告を受け取る「オプトイン式メール」も導入された。デコメのように、メールでは新しいコミュニケーションが生まれている。

 だが、吉岡氏は「携帯電話の小さい世界ではユーザーが使える機能に限界がある。モバイルサイトの内容と目的をしっかりと考え、最適なコミュニケーション機能を選び、ユーザーに提供していくことが大切」とアドバイスする。

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