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» 2007年11月17日 09時30分 公開

Weekly Access Top10:グリーンITに乗る前に考えておくべきこと

温室効果ガスの削減を目指す「グリーンIT」を受け、ベンダーがこぞって新製品を投入している。環境問題は重要なトピックだし、この動きに乗って製品を導入しようと考えるのは早計だ。今一度自分たちの置かれている状況を見直してみる必要があるのではないか。

[藤村能光,ITmedia]

 先々週の記事「自分の名前、だれかにググられても大丈夫?」が今週もまだランクインしている。検索におけるGoogle万能主義に警鐘を鳴らすかのような内容と、検索で自分が不利益を被る可能性を示唆している点が非常に興味深い。検索という行為が当たり前のものになってしまったが、当たり前となってしまったものにこそ、疑いを持つことを忘れてはいけない。

 今週の取材で興味をひかれたのは、「Project Blackbox」だ。輸送用のコンテナにデータセンター機能を詰め込むという取り組みは、省電力におけるデータセンターの新たな可能性を示している。

 近年、サーバなどのIT機器や巨大化が進むデータセンターの消費電力が、環境保護の観点から大きな問題になっている。

 経済産業省の調査によると、国全体の消費電力に占めるIT機器の消費電力の割合は、2006年には5%程度だが、2025年には15〜20%になるという。IT機器が日本の電力の約5分の1を占めるという現実が近い将来起こりうるかもしれない。

 その流れを受けてか、米Gartnerがこのほど発表した2008年「戦略的技術・トレンド」では、今後3年で企業に重大な影響をもたらす可能性のあるものの第1位にグリーンITがランクインした。

 そしてこれに拍車をかけるかのように、ベンダー各社が消費電力の削減をうたうエコ製品や計画を出している。風変わりな取り組みでは、データセンターを地中に構築するといったものも見られる。また、空調設備の電力制御や水冷却、仮想化などによるサーバ統合、CPUの省電力化といった技術が活用されている。今後IT業界では、こういった省電力対策がよりいっそう進むだろう。

 だがこれらの技術や取り組みは本当に省電力化をもたらすのだろうか。

 米国ではすでにグリーンITはベンダーのセールストークおよび誇大広告にすぎないといった声が上がり、日本においては省電力化を推し進めるのはITマネジャーであって現場にその実感はないという実態がある。それだけでなく、自社のIT機器の電力消費量を明確につかんでいない企業も多い。

 この手の話は、エンタープライズ分野における“手段の目的化問題”に通ずるものがある。最近社内情報共有のインフラとして社内SNSを導入する例が見られるが、社員が全員使用するかというとそうでもない。導入したまま有効活用されずに放置される例も多い。

 これは企業が社内SNSを導入することでどのような成果を上げようとしているのかを明確にしなかった結果、導入という行為自体が目的になってしまったことに起因する。そして、企業が製品やサービスを導入する場合には、導入してみたものの結局機能しなかったということが往々にして起こりうる。

 現状では電力の計測機能を持つハードウェアはごく一部だし、オフィス全体の機器から、IT機器だけを計測するのは不可能に近い。しかし海外ではデータセンターのエネルギー削減を評価するプログラムや、排出する温室効果ガスの量を計算して他社と比較し、削減の支援を行うコミュニティーなどが出てきている。しかし、その動きはまだ始まったばかりだ。

 グリーンITの流行に乗ってむやみに製品を導入することは避けたほうがいい。まず企業にとって製品を導入する価値があるかを、数値に基づいた客観的な指標で明らかにし、綿密な計画やロードマップを練るべきだ。グリーンITがこれからのトレンドになり得るからこそ、それに流されないための足場を固める必要がある。自社のIT機器の導入効果が分からないままあいまいな製品導入を繰り返す体制があるとすれば、これを機に見直してみるのはいかがだろうか。

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