SaaS市場拡大のエンジンはスマートフォンの普及か(2/2 ページ)

» 2007年11月30日 07時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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 NPO法人のASPインダストリ・コンソーシアム・ジャパン(ASPIC)が取りまとめたASPおよびSaaSの国内市場規模予想によると、2007年は約8070億円、2008年は1兆630億円、2010年には1兆5360億円規模になるという。ASPICの津田邦和常任理事は、今後の市場拡大にAppleのiPhoneやWindows Mobileのようなスマートフォンが影響するとの持論を展開した。

ASPICの津田邦和氏

 「ASP・SaaSは、専門知識を持たないPC利用者の拡大や汎用技術の普及によって広がった。一方、無線通信ではWiMAXや次世代PHSのように光ファイバ並みの高速サービスが間近にせまり、通信業界では成層圏に打ち上げた通信設備を利用する『HAPS(High Altitude Platform Stations)』も議論されている。iPhoneの売れ行きはiPodの3倍のペースだといわれ、こうした(無線通信機能を持つ)端末の一般への普及は、SaaSの普及に巨大なインパクトを与えるだろう」(津田氏)

 実際、オンデマンドの業務アプリケーションを提供する米NetSuiteは7月にiPhoneへの対応を表明した。このほかにも、Microsoft ExchangeとiPhoneのデータ同期ソリューションやiPhone対応のWeb会議アプリケーションが登場している。

SaaS World 2007会場では、ソフトバンクBBがスマートフォン「X01HT」とSalesforceのスマートフォンアプリケーション、Bluetooth対応プリンタのシステムを紹介。某介護サービス会社ではすでに稼働しているという

 津田氏は、スマートフォンの特徴となるフルブラウザやフルキーボード、通信機能、多様なアプリケーション環境がSaaS利用にも適するという。「デバイスとして改善の余地はあるが、これはモノ作りの得意な日本が強みとするところであり、日本市場で使われる日本語のソフトウェアは日本のベンダーが活躍できるところだろう」(津田氏)

 スマートフォンがSaaS利用される分野について、津田氏は物流や小売(顧客や在庫管理、受発注、POSなど)、電子自治体サービス(電子申請、施設予約)、医療・介護(電子カルテなど)、中小企業の基幹業務などを挙げ、モバイル端末のSaaS対応が大きな役割を果たすと語った。

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