「オーディオコンポ」を目指した標準規格、SaaS化も視野にMIJS標準の第一弾登場(2/2 ページ)

» 2007年12月03日 20時10分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]
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ノンプログラミングでリアルタイムに連携

 その後、MIJS技術部会の副部会長を務める小野和俊アプレッソ代表取締役副社長によって、それら標準規格を用い、具体的なアプリケーションソフトウェアを使ったマスター連携とトランザクション連携のデモストレーションが実演された。

 「MIJSでは、実際にプロトタイプを製作し、アプリケーション間連携した上で、その仕様の妥当性を確認し、問題がなければ仕様にフィードバックさせるという方法で標準化作業を進めてきた」と述べる小野氏。

 今回のデモは、ERPに登録した新入社員の情報を、MIJS標準を間に置くことで、グループウェアやSFAツールへ簡単に連携させる会場での作業を、バーチャル検証センターのデータセンターとリモートでつないでライブで作業するというもの。

 具体的には、ERPの「GRANDIT」に入力した「江島士郎」という仮の社員の、部署名や社員コードなどの登録情報が、MIJS標準で作られた社員マスター(ここでは、サービス連携ツール「DataSpider」を使用)を経由し、SFA(Sales Force Automation))の「eセールスマネージャー」やほかのアプリケーションにノンプログラミングでリアルタイムに連携する様子が実証された。

 また同様に、Webアプリケーションの「GRANDIT」に健康ドリンクの売り上げを登録し、クライアントアプリケーションの「SuperStream」上で経理部長が仕訳を確認するシナリオで、異なる環境でデータを共有するトランザクション連携も実演した。

画像 WebアプリケーションのERP製品とクライアントアプリケーションの会計製品でデータを共有するトランザクション連携も実演

 「これと同様なことをプログラミングで実現しようとすると、名称表記の“ゆれ”や商品コードのけた数など、細かい違いが大きな障壁になる。しかしMIJS標準に従えば、データのマッピングを一切意識することなく同様なインタフェースをn対nで実現できる」(小野氏)

MIJSの目指すSaaSとは

 「とはいえ、この標準の決め方がなかなか難しい」という梅田氏。第一弾では、「生産依頼」「生産実績」「仕訳」の3つのトランザクションの標準と、「社員」「部門」のマスター連携を決定。第二弾から、「受注」や「売り上げ」、「顧客」や「商品」、「勘定科目」などの項目も順次議論しながら標準化の範囲を増やす考えだ。

 「MIJSの強みは、個々が売れているアプリケーションであり、標準規格も絵に描いたもちではなく、現実にデータ連携が実現できる点にある」(梅田氏)

画像 MIJSの考えるSaaSポータル。標準規格に準ずることで、新たなアプリケーション参入も容易という

 MIJSの次の展開として、1つはこれらの標準をブラッシュアップして拡張していくこと。そして2つ目は、SaaSポータルサイトの構築だという。ただし、日本発のMIJSの考えるSaaSとは、パッケージベンダー自身が推進するSaaSとして、パッケージ購入とソフトウェア利用のどちらも選択が可能で、特定ベンダーによらず競合も含めたオープンな参加を許し、それらが簡単に連携できるようになっているべきだと強調する。

 そして、SaaSでも最も重要となるMIJS標準規格はオープンにし、標準規格書を年内にはMIJSサイトに公開してダウンロードできるようにするという。

 最後に梅田氏は、「MIJS以外の企業にも自由に製品やアダプタを作ってもらい、できるだけ多くの企業がこの標準をベースに連携を拡大していくことが、日本のIT業界の発展につながる」と語り、技術部会の発表を締めくくった。

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