富士通は、台湾政府などが出資するIIIとWiMAXアプリケーション開発の合弁会社を来年3月に設立。富士通は、端末や小型基地局向けのLSIも台湾メーカーへ供給し、wiAMXチップセット市場での主導権確保を狙う。
富士通と台湾政府などが出資するNPO法人Institute for Information Industry(III)は12月4日、モバイルWiMAXの端末などに搭載されるアプリケーションプラットフォーム開発の合弁会社を来年3月に設立すると発表した。
新会社は、富士通の保有するWiMAXのSoC(System on Chip)技術と、IIIのソフトウェア技術を活用し、WiMAX機器用アプリケーションプラットフォームの開発と、ODM(Original Design Manufacture)ベンダーへの提供およびサポートを行う。当初は端末や超小型基地局向けの開発に着手する。
新会社の名称は「台湾ソリューションAEセンター」で台北市に設立される。資本金は約500万ドルで、富士通が51%、IIIおよび地元企業が49%を出資する予定。当初は10数人体制でスタートし、最終的に100人近い規模に拡大させるという。
富士通の秋草直之代表取締役会長は、「ICT産業は国際的な技術競争が激しく、WiMAXを政府プロジェクトで進める台湾は手を組むのにふさわしい相手」と述べた。また、台湾行政院の林逢慶政務委員は、「富士通とはWiMAXを通じて関係を築いており、今回の提携を長期的なものとしていきたい」と語った。
今回の提携に関連して、富士通はWiMAX用LSIを台湾のODMベンダー各社へ供給する方針を発表した。台湾では今年7月に6社の事業者へ周波数免許が交付されており、2008年末に商用サービスが開始される見込みだ。
富士通の藤井滋経営執行役常務電子デバイスビジネスグループ長は、「世界のODM市場の4分の1を台湾メーカーが占めているといわれる。このような場所でWiMAXサービスが世界でいち早く開始されるため、製品開発においては最も優れた場所だ」と話した。
同社では2010年におけるWiMAX機器の市場規模を約5000万台と予測し、PCや液晶テレビと同様にWiMAX機器の生産においても台湾メーカーが国際的なプレゼンスを確立するとの期待感を示す。藤井氏は、合弁会社の詳細な事業計画については「今後1〜2カ月で詰める」としたが、チップセットしては「5000万台のうち1000万台、20%強はぜひ取りたい。特に(携帯電話の)3Gが本格展開されていない市場ではWiMAXが次世代の有望な通信インフラとして期待され、当社も積極的に展開したい」との目標を明らかにした。
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