Googleは「Webのネイティブスピーカー」――Googleに転職した元MS幹部

Microsoftの元幹部のビック・ガンドトラ氏は、Googleでアプリケーションをプラットフォーム/デバイス非依存にする作業を担当している。

» 2007年12月18日 17時30分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 時として、日常生活のちょっとした出来事が素晴らしい転機につながることがある。Googleで技術担当副社長を務めるビック・ガンドトラ氏もそういった経験をした一人だ。同氏はGoogleに入ったことを娘に感謝している。

 それはディナーパーティーでの出来事だった。ガンドトラ氏が友人からある質問を受けて答えに窮していたとき、4歳になる娘のタイガーが「パパの携帯電話はどこにあるの?」と聞いたのだ。

 ガンドトラ氏は、娘がなぜ携帯電話のことを尋ねたのか分かった。同氏が何か質問されて答えられないときはいつも、Palmデバイスをさっと取り出してGoogleで検索するのを娘のタイガーは見ていたからだ。もちろん娘は、Googleが知識を提供してくれるということは知らなかったが、「パパが答えに困ったときは携帯電話が助けてくれる」ことは知っていたのだ。

 「これこそまさに情報化時代だ。理解可能なあらゆる質問は、Googleのパワーによって答えることができるのだ」とガンドトラ氏は話す。

 ガンドトラ氏は2007年6月にGoogleに入社し、現在はモバイルプラットフォームと開発プラットフォームを担当する。Googleに入るまで、同氏は15年間にわたってMicrosoftに在籍し、Windows OSの各種バージョンの開発に携わるとともに、Win32から.NETアーキテクチャへの移行を統括した。

 Googleにおけるガンドトラ氏の新たな任務は、Webアプリケーション分野での同社の成長を促進することである。同社のWebアプリケーションの多くは、AppleのiPhoneなどの携帯端末に対応させる作業が進められている。

 ガンドトラ氏はAndroidに携わっているわけではない。同氏が担当しているのは、YouTube、Gmail、PicasaなどのGoogleアプリケーションを、Symbian、RIM、Microsoft、Appleなどが提供する多様なデバイスやプラットフォーム上で動作するように修正する作業である。

 数百名のプログラマーで構成される同氏のチームは最近、ユーザーがiPhoneからGoogleの検索機能やGmail、Calendarなどのアプリケーションにアクセスすることを可能にする新しいアプリケーション、そしてRIMのBlackBerryデバイスにGoogle Calendarを同期化する機能を発表した。

 ガンドトラ氏は12月12日、Google本社で開かれた会合で米eWEEKの取材に応じ、「われわれにとって、Web用に開発されるアプリケーションを増やすというのは、Web上で提供するコンテンツを増やすのと同じである。より多くのユーザーを引き付けるのが目的だ。当社のWebアプリケーションの成長と当社のビジネスの成長との間に直接的な相関関係があるのは明らかだ」と語った。

 さらにガンドトラ氏によると、Googleはコンシューマー指向の技術をエンタープライズ市場に適合させるという戦略を今後も追求する方針であり、ソーシャルネットワークの「OpenSocial」や同社のウィジェットサービスである「Gadgets」も近く、同社のエンタープライズ対応リストに入る予定だという。

 もちろん、Web向けのプログラミングは、単一のソフトウェアプラットフォームを対象としたプログラミングとまったく作法が異なり、ガンドトラ氏は改宗者の熱意をもって新たな作法を受け入れた。「わたしがかつて福音を説いていたプラットフォームは1社のためになるだけだった。Webは全人類のためになるのだ」と同氏。

 「MicrosoftはWeb開発を理解していないのではないか」という指摘に対しては、ガンドトラ氏は異議を唱える。同氏によると、Webのネイティブスピーカーの企業もあれば、強いアクセントでWeb語を話す企業もあるという。

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