ケータイ小説が、2007年のベストセラー上位を占めたという。この事実は、「本が売れない」と嘆く出版社や作家陣にある種の衝撃を与えている。同時に、「ケータイ小説は文学ではない」などと敬遠する人がいるのもまた、事実だ。
小林啓倫氏「シロクマ日報」の教育メディアとしてのケータイ小説というエントリーは、正に目からウロコの指摘だった。つまり、ケータイ小説が若者に近いメディアであるならば、逆にケータイ小説を利用し、役立てようという考えだ。
それも、ケータイ小説で特に問題視される「性」の問題について。それを実際に行ったのが産婦人科医・須藤なほみ氏で、ケータイ小説を読み込み、特有のスタイルを習得してから、読みやすいケータイ小説を執筆。楽しみながら、避妊や感染症についての知識も学べる恋愛小説になっているという。
新しい形が古いものを壊していくのを恐れるのではなく、新しい形の中に入り込んでいく必要性があるのではないだろうか。先日のテレビ東京系で放映された「ワールド・ビジネス・サテライト」でも、名作文庫に漫画家による新しいカバーをかけて売り上げを急増させた例などが取り上げられていた。形を変えただけで、若い読者も興味を示したというのだ。
ケータイ小説が流行っているなら、それを利用する。今後、出版界が衰退していかないためにも、必要となっていくに違いない。
2007年流行したものの1つとして、「Twitter」を挙げることができる。これは「ミニブログ」や「ミニSNS」とも称されることがある。昨年末に公開した15分で分かる2007年のブログ界では、あえてこの話題を避けてしまったのだが、その理由の1つが「ブログというカテゴライズでよいのか?」という疑問だった。
栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」のTwitterをどうカテゴライズすべきか?でも、このことについて考察している。
また、小林啓倫氏「シロクマ日報」のTwitter コミュニティと日本語版開発でも触れられているように、Twitterはこの春にも日本語版がリリースされることになっている。
2008年は、Twitterにとって1つの転換期といえるだろう。改めて、この新しいサービスの立ち位置というものを考えてみたい。
吉川日出行氏「ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦」のWeb2.0をリードしているのは1%のオタクは、衝撃的なエントリーだった。
ここ数年は参加していないが、筆者もコミケにサークル参加していた経験を持っている。つまり、吉川氏の言うところの「1%のオタク」の1人だ。
筆者の場合、コミケに参加するようになったのは高校時代だったが、本格的にサークル参加などを始めたのは、パソコン通信を始めてからだった。つまり、ネットコミュニティーへの参加が、加速度を増したわけだ。そこから、現在へとつながっている。現在ではコミケへの参加自体はしていないが、機会さえあればしたいと思っているし、Webを通じた情報発信などは相変わらず続けている。
やはり、Web2.0を牽引するのは、全体からすると数少ないオタク(マニア)たちなのか? 筆者からすると、あくまでもオタクはWeb2.0を構成する一翼にしか過ぎないと思うのだが、どうだろうか。
それにしても最近はリメイクが流行っている。先日は、タイムボカンシリーズ最大のヒット作である「ヤッターマン」が、テレビ局を変えてリメイクされた。チバテレビでは同じ曜日の夕方に旧「ヤッターマン」を再放送しているので、新旧を見比べることもできてしまうのだ。最大のウリは、三悪とドクロベエの声優が旧作と同じことだろうか。初回を見た限りでは、いろいろ変わったところもあるが、楽しめるリメイクだったと思う。さらに2009年公開予定の実写版もメインキャストが発表され、いよいよ始動といったところか。
そして、こちらは厳密にいうとリメイクではないのだが、深夜帯に「墓場鬼太郎」というアニメがスタートした。夏目房之介氏「夏目房之介の「で?」」の『墓場鬼太郎』のTVアニメでも触れられているが、現在も新作が作られている「ゲゲゲの鬼太郎」の前身となった作品の「初アニメ化」である。個人的に、水木しげるのコミック版を見てからアニメを見ると、独特のおどろおどろしさが薄れているのを感じていたが、この「墓場鬼太郎」では、原作のテイストを比較的忠実に再現している。しかし、声は「ゲゲゲの鬼太郎」の第1・第2シリーズと同じ配役なのだ。鬼太郎は野沢雅子、目玉親父は田の中勇、ねずみ男は大塚周夫といった具合である。現在放送中の「ゲゲゲ」では4代目の高山みなみが鬼太郎を演じているが、「墓場」では懐かしい野沢雅子が、これまでにない鬼太郎を演じているのは見物である。
アニメ作品でいえば、このような古い作品が新たにパチンコ台などになって復活しているケースもある。
リメイクが流行るのはなぜだろうか? それはやはり、よいものは時代を超えて愛されるからだろうか。しかし、現代のクリエイターたちに、時間を掛けて新しいものを生み出す余裕が無いのかもしれない。
最後に、このほかに気になったエントリーを2つほど紹介しよう。
吉田賢治郎氏「けんじろう と コラボろう!」の「歳をとる毎に1年が加速度的に早くなる」2つの理由と対策は、実に興味深かった。筆者自身が、ここ数年、このことを実感しているからだ。
川上暁生氏「ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」の振り込め詐欺が身近にあったも、気になるエントリー。実家を出てからずいぶん経つので、こういうことがないかどうか、やはり気になってしまうのだ。読者の皆さんはどうだろうか。
以上、1月10日から1月16日にかけてオルタナティブ・ブログに投稿された190近くのエントリーの中から、筆者の視点からピックアップさせていただいた。
しかし、取り上げることができたのはわずか数本。ほとんどのエントリーは触れることもできなかった。その、触れなかったエントリーの中にも、読者の皆さんにとって興味を惹くものがあるだろう。本稿を読んで、オルタナティブ・ブログに興味を持ってもらえたならば、ぜひほかのエントリーにも目を通してほしいと思う。
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